春秋

2015/5/29付
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サッカーは不条理のスポーツだ、とよくいわれる。圧倒的に攻め続け、決定的にみえるチャンスを何度もつくったチームが、なぜか得点に恵まれないことがある。逆に、押されっぱなしのチームが偶然というしかない一瞬のチャンスをものにして決勝点をあげることも。

▼勝負ごとに運不運はつきものではあるが、わずかな得点で勝敗が決まりがちな分、サッカーは他のスポーツより不条理感が強いかもしれない。そのせいか、サッカーファンは不条理を受け入れ、むしろ楽しんでいるようにみえる。明らかな反則を「神の手」とたたえる不可解な態度も、そんなファン気質のあらわれだろう。

▼米国でサッカー人気がさほど高まらないのはそのためだ、との解説を目にしたことがある。合理性と正義を重んじるお国柄に、不条理に満ちたスポーツはそぐわない、という理屈だ。必ずしも実力どおりの結果とはならないので、世界最強を自任する国の人たちには耐えがたいのではないか。そんな分析を加える人もいる。

▼国際サッカー連盟(FIFA)の幹部らを、収賄などの罪で米司法省が起訴した。米政府の登場は意外だが、不条理を我慢できなかったのだと考えると、納得できる気がする。米国流の正義の押しつけは鼻につくこともあるけれど、国際的なスポーツビジネスの風通しが良くなるのなら、今回は歓迎すべき押しつけだろう。

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