2019年1月24日(木)

東証、ネバーストップ作戦 5年ぶりシステム刷新

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2015/5/22付
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 東京証券取引所の株式売買システム「アローヘッド」が9月に約5年ぶりに刷新される。現在稼働している初代アローヘッドより処理能力は約2倍になり、注文応答にかかる時間は半分に縮む。だが情報システムにより求められるのは「ネバーストップ」だ。稼働率で業界最高水準を意味する「99.999%(ファイブナイン)」を目指す取り組みを追った。

新アローヘッドの開発作業が本格化し始めた2013年11月、段ボール箱を使った即席の台の上から大声で呼びかける男性がいた。日本取引所グループの鈴木義伯専務執行役CIO(最高情報責任者)だ。日本取引所グループは東証の親会社で、鈴木氏は新アローヘッドの責任者だ。

暴走・障害防ぐ機能満載

「取引所のシステムは信頼性が特に大事だ。信頼性を高めるためにがんばっていこう」。鈴木専務の激励を聞いていたのは東証のシステム担当者80人と富士通の技術者300人。彼らは新アローヘッドの重要性を改めて認識、仕事に戻った。

鈴木専務が激励に来たのはなぜか。その理由は05年11月1日に起きた事故にある。売買システム障害で取引が半日以上ストップしたのだ。約1カ月後には新規上場株の誤発注を取り消せない不具合が表面化、400億円を超える損失を生んだ。

当時の東証の経営者は引責辞任。急きょ社長を兼務した西室泰三会長(現・日本郵政社長)はNTTデータ子会社から情報システムの専門家をCIOとして招いた。それが鈴木氏だ。

鈴木氏が中心となり、富士通と組んで10年に完成させたのが初代アローヘッドだ。稼働から5年以上たつが全面停止は一度もなく、一部銘柄が3時間半ほど取引できなくなる部分的なシステム障害が一度だけあった。

海外の取引所では報道されただけでも14年までの3年間に100件以上のトラブルが発生しており、東証のシステムは現状でも世界最高レベルの稼働率を維持している。

今後を考えると不安もある。10年ごろは「アルゴリズム取引」と呼ぶソフトによる自動発注の割合は株式注文全体の1割未満しかなかった。今は7割を超える日もある。海外では自動発注ソフトの不具合で短時間に大量の誤発注が繰り返され、取引相場全体が混乱して数百億円の損失が発生する事態が生じている。

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