プラス、文具を動画で紹介 紙よりわかりやすく

2015/5/20 6:30
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新商品が次々と出てくる文具。売り手も買い手も商品の細かな特徴まで把握するのは難しい。そこで文具・事務用品大手のプラスが提供するのが動画カタログ。これまでに公開した動画は1000本以上に上る。映像の完成度よりも商品の特徴を伝えることを意識して制作した動画は、紙のカタログだけでは伝えきれない商品の魅力を発信するのに一役買っている。

紙のカタログについたQRコードを読み取れば、商品紹介の動画を見られる

紙のカタログについたQRコードを読み取れば、商品紹介の動画を見られる

「商品の特徴が消費者や企業に理解してもらえるようになった。注文間違いや返品が減った」。東京・銀座で文具店を約70年営む文新堂の山口滋久社長は語る。タブレット(多機能携帯端末)で動画カタログを見せながら企業の担当者に商品について説明している。

プラスの動画カタログは時間が短いのが特徴だ。店頭でのプロモーションの目的で映像美にこだわり3分以上の長めの動画を制作するメーカーが多い中、1分か1分半程度。特徴も多くて3つほどに絞っている。

動画にするのは基本的に紙のカタログに掲載している商品だ。文具やオフィス家具の中から、特に説明が難しいものを中心にカタログ制作担当者が選ぶ。付箋のように誰でも一目で使い方が分かるような商品は選ばない。

例えば「修正テープ」の場合、実際に文字を修正する場面を見せることで、商品の大きさや特徴が具体的に分かる。テープの交換方法なども動画なら伝わりやすい。

動画のカタログを仕掛けるのはプラスの社内カンパニーで、文具店への卸売事業を手掛ける「ジョインテックスカンパニー」。数年前から動画制作を始め、ウェブ上で公開し文具店や消費者が見られるようにしている。

編集など一部作業はベンチャー企業のローカス(東京・渋谷)に委託しているが、実際にプラスの社員が構成を考え、動画に出演もする。プラス以外の商品も含め公開する1000本以上の動画の8~9割を自社で制作する。

動画の制作を始めた当初は専用のスタジオで1商品ずつ撮影していたが、ニーズの高まりに動画制作のペースが追いつかず、社内で撮影するようになった。会議室や給湯室など利用環境に近い場所を使い、商品をまとめて撮影している。

ここまで動画に力を入れるのは紙のカタログで伝えきれない高機能文具が増えたため。ここ数年の文具ブームを追い風に新しい機能を備えた文具が相次ぎ登場している。従来は紙のカタログで新商品を紹介すればこと足りた。だが、「実際の機能や使用感などを知りたいのでサンプルを見たい」と文具店から要望を受けることも少なくはない。

動画カタログは「消費者だけでなく文具店に対してもメリットがある」

(制作部の鈴木健司部長)。その場で映像を見せることで、消費者の疑問点のある程度は解決できる。来店したのに買わずに帰るといった機会ロスも減らせるからだ。

一方で紙のカタログが持つ、類似の商品との比較しやすさも大切にする。冊子にはQRコードを記載し、スマートフォン(スマホ)などで読み取れば動画を見られるようにした。紙のカタログで商品を広く探し、動画で深く内容を知ってもらう狙いだ。

目の肥えた消費者はその商品について情報を深く知ろうとし、納得しなければ購入しない。文具の高機能化が進む中で、動画と紙を融合させたプラスの手法は参考になりそうだ。(諸富聡)

[日経MJ2015年5月20日付]

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