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大企業病を治したいなら、まず服装を変えよう

ブランドン・ヒル(米ビートラックスCEO)

日本からビジネスで米国を訪問する人はスーツを着用している場合が多いが、西海岸ではスーツを着ている人は非常に少ない。特にシリコンバレーでは天候が良いこともあり、一年中Tシャツとジーンズで仕事をするのが一般的である。

スティーブ・ジョブズ氏が生前愛用していたジーンズに黒のタートルネック、白のスニーカーの組み合わせもこの辺りではカジュアル過ぎるということは全くない。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)も一年中同じデザインのTシャツやパーカーを着ている。

カリフォルニアでスーツを着ているのは、金融系か弁護士など少数派で、テクノロジー系の企業が密集するこの地域では違和感がある。従って、日本からスーツでこちらに来ようと考えている人は、ぜひカジュアルな服装もあわせて準備するのをおすすめする。

スーツ着る人は大企業病? 米で研究結果

札幌市生まれ。サンフランシスコ州立大学デザイン学科在学中からウェブサイトのデザイナーとして活躍。卒業後の2004年にブランディング・ユーザーエクスペリエンスデザインを手掛けるビートラックスを設立。趣味はバイク、テニス、ロック音楽。

米国でもカジュアルなスタイルは特にシリコンバレーを中心とした西海岸に多く、特にテクノロジー系のスタートアップ企業ではかなりスタンダードともいえる。その一方で、ニューヨークをはじめとした東海岸や多くの大企業では、日本の企業と同じく、スーツを着るのが常識とされているケースも少なくはない。やはりビジネスの場においてはスーツを着るのが日本でも米国でも、一般的にはいまだにスタンダードとされている。最近この常識に対して興味深い研究結果がカリフォルニア州立大学ノースリッジ校から発表された。

同校の研究によると、スーツを着ている人の特性は(1)権力を誇示したがるが、他の従業員とのコミュニュケーション量が少ない(2)物事の詳細よりも概念的な考え方をしがち(3)具体的なデータや事実ではなく主観に頼った決断をしがち、であることが判明したという。これらの特性は、いわゆる大企業病と呼ばれる内容に似ている。反対に速いスピードで物事を進めるスタートアップの人々は、個々のステータスよりもチームワークを、全体的な概念よりもプロダクトの詳細を、主観よりもデータや事実に基づく決定を重要視することから考えても、彼らにとってふさわしい格好を職場でも実践しているといえるだろう。

まず見た目からイノベーションを喚起

米国の一部の大企業でも、スタッフにカジュアルなファッションスタイルを推奨する動きも出て来ている。グーグルやアップル、フェイスブックなどシリコンバレーの多くの企業が次々にイノベーションを生み出しているのにならい、まずは見た目からスタートアップ的カルチャーを根付かせることで、イノベーションを喚起しようというのが狙いだ。

実はこのスタートアップ的ファッションスタイルとその効果については、米国に先駆けて日本でもかなり以前から一部の人々によって実践されていた。かつて日本発イノベーターの代名詞であったホンダの創業者、本田宗一郎氏は現役時代、自らほかのスタッフと同じ純白のつなぎを着て、現場で一緒に汗を流した。社長もほかのスタッフと同じ服装にすることで、同じチームの一員としての意識を根付かせ、無駄な緊張感を排除するのが目的だったという。現代の日本の職場でも服装のカジュアル化が少しずつ進んでいるが、イノベーションを生み出したい企業は、思い切ってスタートアップ型ファッションスタイルを取り入れてみるのも良いかもしれない。

[日経産業新聞2015年5月19日付]

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