紙の動物園 ケン・リュウ著 SF界の超新星、珠玉の15編

2015/5/14付
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(早川書房・1900円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(早川書房・1900円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

噂に名高い中国系アメリカ人作家の短編集が、ついに登場した。

表題作はコネチカットに住む一家の話。父は白人、母は中国人。その子どもは成長するうちに、母が英語をうまく話せない異文化圏出身である事に苛立(いらだ)ち始める。

母は言語を補うかのように折り紙で動物を作る。その動物たちのみせる不思議を、子どもは見つめ続ける。

さて親子間の異文化間コミュニケーションはいかに行われたか?

ちょっぴり気恥ずかしいほどノスタルジックな世界をかくも残酷かつセンチメンタルに描き出す筆致が奥深い。

この他、書籍マニアを苦笑させる「選抜宇宙種族の本づくり習性」、遠い惑星コロニーに不時着した女性が原住民との交歓を通して、愛とバクテリアの秘密を知る「心智五行」、記憶の中の誤認を扱う「1ビットのエラー」など、溜息(ためいき)の出るような珠玉の十五編を収録。

「ヒューゴー賞、ネビュラ賞、世界幻想文学大賞など、SF界の賞を総なめにしたスター作家」というふれこみは、けして誇張ではない。

超新星の出現を祝福したい。古沢嘉通訳。

★★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2015年5月13日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

著者:ケン・リュウ
出版:早川書房
価格:2,052円(税込み)

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