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モノがネットで連動「IoT」 「外から家電制御」の時代に

(三淵啓自)

昨年、IT関連機器以外のモノが連動し様々なサービスを実現するIoT(インターネット・オブ・シングス)が話題になった。2020年には500億個のデバイスがネットに接続され、IoT関連市場は700兆円になるとも言われる。

米国ではグーグルなど大手企業の93%はIoTを活用しているとの調査結果もある。だが、日本では70%近くの企業が対応に遅れているようだ。 IoTは様々なレベルがあるが往々にして、スマートフォン(スマホ)から制御する家電や健康管理機器に注目が集まりがち。しかし本当の目的は便利さの提供ではなく、収集したデータを解析し、製品やサービスの開発や運用の効率化に生かすことだ。日本ではまだ事例が少ない。

一般消費者向けでは、IoTはスマホを中心に展開することが多い。アプリにデバイスやセンサーをどう連動させるかなど実現への敷居が高かった。そんな中、3月、米アマゾンがIoTの新たな実験として「ダッシュ・ボタン」を発表した。

小さな小型の端末を壁や冷蔵庫に張り付け、ボタンを押すとスマホを通して、アマゾンのECサイトに注文が行き、家まで配送してくれる。今のところ米国のみで日用品が対象だが、アマゾンのプレミアム会員は無料で端末が提供される。将来的には、洗濯用の洗剤が残り少なくなってきたら自動的に洗剤が注文される発注の自動化を目指している。

ダッシュ・ボタンもそうだが、IoTはスマホのアプリを介在してインターネットに接続される。スマホのプラットフォームは米グーグルのアンドロイドや米アップルiOSの影響力が強く、一般消費者向けのIoTサービスの戦略は両社を無視しては難しい。そんな中、完全なオープンソースで標準化しやすいのが、米モジラ財団が開発した基本ソフト「ファイアーフォックスOS」だ。

昨年8月にインドで33ドルのスマホを発売して話題になった。そして日本でも、昨年12月にKDDI(au)が日本で初めてファイアーフォックスOSを搭載したスマホ「Fx0」を発売した。Fx0同士をタッチするだけで簡単に写真や動画を共有できるほか、スマホ自体がサーバーのように情報提供ができる。

さらに同社はFx0と様々な機器とを接続するIoTを実現するため、独自のプラットフォームレシピを開発者向けに提供している。ウェブを介して複数のデバイスやセンサー、スマホをつなげて制御したり組み合わせたりする仕組み。たとえば、家電の状況を外出中に確認してオン、オフの調整がスマホで可能になる。ウェブでつながるものであればどんなものでも制御でき、汎用性が高い。

先月、パナソニックはファイアーフォックスOSを搭載した4K対応の液晶テレビ「ビエラ」の新製品を発表した。スマホは個人情報を扱うためセキュリティーの問題があった。その点、4Kテレビのようにリビングにあるデバイスであれば家族ら数人で登録・共有するので制御しやすい。

ある程度の処理能力のあるデバイスが情報のハブとなって有機的に機械同士がつながる。さらに、そこからの情報をインターネットにつなげたりすることで、一般家庭がIoTの恩恵を受けられる日もそう遠くないかもしれない。

(デジタルハリウッド大学教授)

〔日経MJ2015年5月1日付〕

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