対面で交流「ミートアップ」 技術・キャリア目的が盛況
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)
オフラインの会合をオンラインでセットするのを可能にするサービス、ミートアップ。自分が住む地域で関心のある集まりを探して、趣味を同じくする仲間を見つけることができる。最近このミートアップが目を見張るほど勢いを増している。

この分野でのパイオニアであるMeetupが創業されたのは2002年。フェイスブックなどのソーシャルメディアが出てくる前で、デートや結婚目当ての出会い系などとは別の、仲間を探すサイトとして注目を集めた。当初は読書や編み物、野鳥観察などの趣味系が目立ち、地元のカフェで集うことが多かった。「オンラインの時代でも、やっぱりオフラインで顔を合わせるのは大切」と評価されていたのを覚えている。
ところが、特に最近のシリコンバレーでは技術中心やキャリア目的と思われるミートアップが増えている。頻繁に会合が開かれ、登録参加者の数が数千人規模に及ぶものもある。
たとえば、「ベイエリア機械学習」のミートアップには3400人近くが登録。サンフランシスコ市内のインキュベーションで毎月開かれる会合には100人前後が参加しているようだ。
07年から続いている「ベイエリアAI(人工知能)」のミートアップは数カ月ごとに開催されているようだが、すでにこれまで110回以上の会合を開催。登録メンバーは1900人以上いる。
それ以外にも「iOS開発者」「アンドロイド・アプリケーション開発者」「データ・サイエンス」など、多彩なミートアップが地元企業の会議室や大学のキャンパスなどで、ひっきりなしに開かれている。テクノロジーに関心があれば、行き先に困らないだろう。
大半の場合、持ち回りで主催担当者が会合を取り仕切る。数人の研究者や開発者がプレゼンテーションをして、自分の開発プロジェクトを披露し、ディスカッションする形式が多い。前後に参加者交流の時間がたっぷりと設けられている。

私自身、少し前にビットコイン関連のミートアップに顔を出した。ビットコインでは実際にどんな人たちが開発に関わっているのか、どんな人が利用しているのかを知りたかったからだ。参加者は実に多様で、ビットコイン関連の事業を起業したばかりの開発者、ビットコイン市場を作ろうと計画している大手コンサルタント会社の社員、ビットコインで選挙活動資金を集めようとしている地元政治家などがいた。技術の現状を知る、知識や情報を得る、関係者と知り合うなど、いろいろな目的が達せられた。
もちろんテクノロジー以外のミートアップもたくさんある。登録していればどこで開かれていても参加できるので、出張先で地元の関係者と知り合いたいという場合にも使える。当たり外れがあるとは思うが、主催者や参加者のバックグラウンドを調べていけば、だいたいのイメージがつかめるはずだ。
ただし、参加する際にはある程度の社交性が必要だ。知らない人にも自己紹介し、相手に質問をし、相手にとっても有用な情報を提供する。草の根的に組織されている会合なので、自分が努力した分だけ収穫も多くなる。そんな技を切磋琢磨できる場所でもある。
[日経MJ2015年4月27日付]