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手首は「革新1丁目」 腕時計型、市場競う

店頭に展示された「アップルウオッチ」
米アップルの腕時計型ウエアラブル端末(スマートウオッチ)「アップルウオッチ」が4月24日に発売された。革新的な製品で新市場を創出してきた同社もこの分野では後発とあって、これまでとは異なる戦い方を採る。腕時計が占拠してきた手首は今や「イノベーションの1丁目1番地」(カシオ計算機の樫尾和雄社長)。世界大手からベンチャーまで入り乱れての争奪戦が熱を帯びる。

米調査会社スライス・インテリジェンスの推計によると、アップルウオッチの米国での予約は初日の10日だけで100万台を超えた。2014年のスマートウオッチ市場規模は682万台とされる。その1割以上を1日で売った計算だ。

アップルウオッチの機能面での特徴は、アップルならではの使いやすさへの配慮にある。微妙な振動の違いでメッセージの種類を伝えたり、必要以上の情報は表示せずに連動するパソコンやスマホに引き継いだりする。

宝飾品アピール

ただ、アップルが今回特に注力するのがマーケティングだ。先行他社の製品と比較されないように「宝飾品」として売ることを徹底している。

バンドはステンレス製や革製など数種類から選べるようにして、最上位機種は最高1万7000ドル(約200万円)と宝飾品並みの価格とした。

発売前はファッション関係のイベントやメディアへの露出を増やし、素材の質感やデザイン性を強調。トップデザイナーのジョナサン・アイブ上級副社長が「スイス勢は頭を抱えるだろう」などと発言、高級腕時計を競合相手として挑発したのも比較の枠組みづくりの一環だ。

遅れてきた本命、アップルウオッチの対抗馬と目されるのが米ペブルテクノロジーとシェア首位の韓国サムスン電子だ。

11年設立ながら昨年70万台を売ったペブル。画面に電子ペーパーを使った省電力などが特徴だ。5月をめどに新モデル「ペブル・タイム」を発売する予定。3月末には開発資金をネットで募る「クラウドファンディング」で、7万8千人以上から合計2千万ドル(約24億円)を調達した。

ペブルはそもそもクラウドファンディングで事業を始めた。エリック・ミジコフスキー最高経営責任者(CEO)は「潜在的顧客である出資者から集まる意見が大きな武器だ」と語る。

新モデルでは活動量・睡眠計、メールやメッセージ、予定の確認、音楽という3つに絞り込み、ボタンで操作できるようにした。タッチパネルを採用しないことで、価格は199ドル(約2万3800円)からとアップルウオッチの最も安いモデルの6割弱に抑えた。

大画面を採用

一方、サムスンはスマホ同様、大画面で個性を打ち出す。14年11月に発売した「ギアS」では、2インチの大画面を採用した。「消費者は『小さい画面がいい』、技術者は『大画面にしろ』と意見が分かれた」(米デザインスタジオトップのデニス・ミロセスキ氏)が、ソフト開発の自由度に優れる大画面を選んだ。

高精細の曲面有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーは細かい文字もストレスなく読める。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)など、ニュース関連アプリ(応用ソフト)が充実しているのも特徴だ。

価格は330ドル程度からとアップルの入門モデルより若干低い設定だ。

米調査会社IDCによると、ウエアラブルの出荷台数は2019年に14年の6倍以上の1億2600万台に達する。このうち8割を腕時計型が占めるとみられており、競争過熱は避けれない。

(シリコンバレー 兼松雄一郎)

[日経産業新聞2015年4月27日付]

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