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マンダム 整髪料をインドネシア1万3000の島々に

 インドネシアがマンダムの業績をけん引している。同国での売上高が増え続けた結果、全社売上高は過去最高を更新している。40年以上にわたる営業活動の末、約1万3000ある離島の隅々まで販売網を築いた。2億4000万人の人口を抱える巨大市場の成長の恩恵を受ける構造が出来上がっている。

1月下旬、首都ジャカルタ市内のコンサートホールには熱気が充満していた。マンダムがアジア7カ国・地域で開いている学生のダンス大会「ギャツビーダンスコンペティション」のインドネシア大会決勝だ。優勝した女性二人組が抱き合うと、ひときわ大きな歓声が沸き起こった。

インドネシアの雑貨店には、小袋に入った「ギャツビー」が並ぶ

今年で7回目となる大会のルーツはここインドネシア。若者に人気の現地のダンス番組に早くから協賛していた関係で、アジア各地での販売促進活動として広げることになった。

それほどマンダムはインドネシアに根付いていた。同社によると、「ギャツビー」は同国の男性向け整髪料の販売額で7割を超すシェアを持つ。ジャカルタでのブランド認知度はほぼ100%という。

使い切りサイズで需要キャッチ

マンダムがインドネシアに進出したのは1969年にさかのぼる。きっかけは主力商品だったハードタイプの整髪料「丹頂チック」だった。華僑の貿易商が日本からの土産で持ち帰ったところ、人気だったリーゼントヘアのセットに便利だと評判になり、香港などから輸出するようになった。

71年からは現地生産の合弁相手である華僑系商社、アジア・パラミタ・インディア(ジャカルタ)の協力を得て営業活動も始める。インドネシアは約1万3千とも言われる島で構成する。ジャワ島など主要な島の都市には量販店があるが、大半の島では家族経営の小規模雑貨店が販売している。所得水準が低く、日本で一般的な容器タイプは高すぎるため敬遠されがちだった。

そこで始めたのが、現地で「サシェット」と呼ぶ1回使い切りの小袋での販売だ。洗剤の小分け販売をヒントにし、1個2~3円と現地の消費者に手が届きやすい価格にした。80年にはギャツビーを発売。現地法人に3年間勤務した幹部は「今日はおしゃれをしてデートに行こうという男性の需要をギャツビーが捉えた」と話す。

日本より強い香りに仕上げたり、香料を含んだウエットティッシュなどの現地向けの商品も開発した。商品面での工夫とともに華僑のネットワークを通じて販路を開拓した結果、全島で同社の商品が販売される体制になった。販売代理店は約100、取り扱い店舗数は推定で40万店程度に達する。店舗には商品の補充や対面販売をする要員を派遣しており、約800人の自社営業員も全国を回る。経済成長で化粧品を求める層が全国に広がっており、隅々に及ぶ販売網が売り上げに直結する構造になっている。

 インドネシアならではの特徴はほかにもある。男性向けで確立したブランド力が生き、日本と違って女性向けの化粧品でも成功していることだ。82年から「PIXY(ピクシー)」ブランドで販売を始め、仏ロレアルや英蘭ユニリーバと互角以上の争いをしている。現地工場の女性用ファンデーションの生産量は世界一になった。

2014年3月期の日本の売上高は409億円と10年3月期に比べて10%増。インドネシアは同じ期間で43%増えた。最近はインドネシア経由で商品を輸出していたマレーシアやタイでも伸び、インドネシアの売上高比率は3割、海外全体では4割に達している。この間、マンダムの売上高は過去最高を更新し続けている。需要増に応えて、今年6月にはインドネシアの工場をジャカルタ郊外に集約するとともに生産能力を6割増やす予定だ。

現地の所得向上はより高い価格の商品に対する需要が高まる面では追い風になる一方で、ロレアルを筆頭に他の大手メーカーの追い上げも激しくなっており、今後はより現地の嗜好を反映した商品開発が必要になる。マンダムのインドネシア子会社、マンダムインドネシアの社長は代々日本人が務めてきたが、今月には30年にわたって同社に勤務してきた財務部門出身のインドネシア人が社長に就く。マンダムを支えてきたインドネシア事業は新たな段階を迎える。

(山田和馬)

[日経産業新聞2015年4月17日付]

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