2019年4月24日(水)

クローヴィス物語 サキ著 「奇妙な味」呈す作者の素顔

2015/4/16付
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(白水社・1300円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(白水社・1300円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

短編の職人サキの名はよく識(し)られている。というより、小説好きにとっては必須の教養か。あらゆる趣向を味わいつくした果てに見いだす奇妙な世界。

文庫版の選集は幾種かあった。怪奇幻想もののアンソロジーでは、常連作家。原著からのオリジナル新訳は今回が初めてになる。波乱の人生を送り、若死に(第一次大戦で兵士として戦死)した。1世紀を経ての新装復活だ。

しかし、短編集に関して、原著の復刻に何の有り難みがあるのか。疑うむきも多かろう。代表作はすでに何度も紹介されてきた。たしかにこの1冊、作品に出来のムラがないとはいえない。残酷な機知、驚愕(きょうがく)のオチの名手でも、すべらない(?)話を書いている。

いやいや、その秘密はタイトルにある。ほとんどの話に(さして必要のない場合にも)登場する皮肉屋の青年クローヴィス。語り手を務めることもあるが、主人公ではない。だが、作者自身の投影ではある。「彼」を介することによって見えるのは作者サキの素顔。何をどう書いても「奇妙な味」を呈してしまう男の贅沢(ぜいたく)な「孤独」だ。和爾桃子訳。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2015年4月15日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

クローヴィス物語 (白水Uブックス)

著者:サキ
出版:白水社
価格:1,404円(税込み)

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