2018年12月15日(土)

日本式の個人主義とは 困っている人を放置
インテカー社長 斉藤ウィリアム浩幸

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2015/4/7 6:30
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日本人は「集団主義」の国民性である、という自己認識はどうも誤解のようです。米国の文化の中で育った人間からすると、組織より個人を優先させる傾向は、欧米人より日本人の方が強いと感じることがあります。

日本人の間に、「個人主義」という言葉が流行したと聞いて驚いたことがありました。その時の話の流れは確かこうです。「日本人の残業が多いのはなぜ?」と私が聞き、ある日本人は「上司や同僚の仕事が終わらない間は帰りにくい雰囲気がある」と答えました。私は重ねて聞きます。「じゃあ先に仕事を終えた人がまだ終わってない人を手伝えば良いのでは?」と。

その日本人は「自分の割り当てではない仕事を手伝う例はほとんどない」と言いました。なぜなら個人主義が浸透しているからで、しかもその個人主義の文化は「欧米にならって始まった」そうです。

私はいろいろおかしいぞ、と思いました。まず、欧米の職場には日本人が言うところの「個人主義」なんていうものは存在しません。成功している組織では、先に仕事を終えた人間は自然と同僚を手伝います。仕事の遅れには必ず原因があります。仕事の分配量に誤りがあるか想定外のトラブルが発生しているかです。当事者が解決できない問題であれば、周囲の人間が助けなければと考えるのが、チームワークを重視する欧米人の感覚なのでしょう。

どうも日本人が使う「個人主義」は、困っている人を放置してそれで良しとする「selfish(利己的)」に意味合いが近いように感じられます。本来、英語で言う「個人主義(individualism)」の意味とは、集団に所属する一員としての役割や権利を相互に尊重しあう立場のことで、「私利」が「他利」に優先されるというワガママを容認してしまっては成り立たない概念です。

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