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これでいいのか理研の幕引き

理化学研究所の野依良治理事長が3月末付で退任し、松本紘・前京都大学学長が後任に就くことが決まった。また外部有識者でつくる委員会が理研の改革状況を点検し、「真摯に取り組んでいる」とする報告書を公表した。

理研と文部科学省はこれでSTAP細胞をめぐる騒動の幕引きとしたいようだが、それでよいのか。理研が日本の科学をけん引できる組織に本当に生まれ変われるのか、このままでは疑問が残る。

理研は論文不正の再発を防ぐため、研究コンプライアンス本部を新設し研究倫理の教育体制を充実させたという。理事長ら経営幹部の補佐役を増やし、外部有識者が加わる経営戦略会議もつくった。

組織改革にはそれぞれ意義があろうが、対応が問題の本質から少しずれてはいないか。

STAP論文にかかわった科学者たちは小保方晴子氏の出した実験結果を科学的な批判精神をもって検証しなかった。論文作成にあたっては研究チーム内で意見交換や討論がまったく不十分だったことがわかっている。

実験結果の検証と討論は科学者が当然なすべきことだ。多くの科学者は日常的にそうしている。しかし理研では一流の科学者と呼ばれる人たちが基本動作を怠った。なぜなのか。外部有識者の会合も疑問を呈したが、答えはない。

研究者に対する組織的な管理が不十分だった点が騒ぎの原因ではなく、自由闊達な議論を阻害する雰囲気があったことに問題があったように思える。

不正発覚後、真相解明に力を尽くした科学者が少なからず理研内部にもいた。現場が抱いた危機感に経営陣は当初、耳を貸さなかった。野依理事長の「責任は現場」との発言もやや的外れに響く。

肝心な点を押さえねば、改革は組織的な体裁を整えるだけの上滑りなものになりかねない。

実験試料に既存の万能細胞を入れたのは誰かという事件の核心も、未解明のままだ。文科省と理研にはまだ宿題が残っている。

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