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将来を見据えた着実な年金抑制が必要だ

年金は現役世代が高齢世代を支える仕組みだ。少子高齢化で現役が減り、高齢者が増える中では、年金の給付水準は下げていかざるを得ない。ところが、政治が高齢者の反発を恐れるあまり、引き下げが一筋縄では進まない。

厚生労働省がこのほど与党に示した年金制度改革案の中で、年金水準を小刻みに切り下げていく「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みを毎年着実に発動する案が見送られた。4月の統一地方選を控え、与党の理解が得られなかったようだ。

現行制度で「マクロ経済スライド」は、物価などが低下するデフレ下では発動できない。物価下落に合わせて年金額も下げるようになっているので、これに加えてさらに引き下げるのは酷との考えだ。このため、デフレが長引いた日本ではこの仕組みを発動できない年が続いた。

2015年度はやっと発動する予定だが、この先、再びデフレに陥り、スライドも実施できなければ、年金財政の悪化が進み、将来の給付水準も下がってしまう。

そこで厚労省の審議会が1月にまとめた年金改革に関する報告書は、デフレ下でも毎年着実にこの仕組みが発動できるようにすべきだとの方向を示していた。ところが、与党に示した案では、デフレ下で発動しないという制約は残し、発動できなかった切り下げ分は物価などが上昇したときに、まとめて下げることにしている。

まとめて下げるといっても、そのときどきの政治・経済状況によって確実に実施できる保証はない。毎年小刻みにでも着実に切り下げていくという原則は貫徹すべきではなかろうか。

審議会の報告書は、将来の年金をなるべく減らさないようにするため、年金を受け取り始める年齢の引き上げや、保険料の拠出期間の延長などの必要性にも触れていた。ところが、厚労省が示した改革案ではこれらの対策は一顧だにされていない。

高所得者に対する年金のカットや年金課税の強化など従来から議論されている年金財政対策についてもゼロ回答のままだ。

年金制度の改革に当たっては給付抑制や負担増などの「痛み」は避けて通れない。「痛み」の先送りは結果的に年金制度への信頼も損なう。政府・与党はそのことを改めて自覚し、制度が将来も維持できる改革案をつくってほしい。

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