/

社長交代、タイミングが重要 変革者の育成目指せ

森川亮・LINE社長

3月末をもって、いよいよLINEの代表取締役社長を退任することになりました。これまで私が経営に関わったハンゲームやネイバー、ライブドア、LINEのファンの皆様、長い間のご支援ありがとうございました。

 1989年筑波大卒。日本テレビ、ソニーを経て2003年ハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社、07年社長。

退任を発表して以来「なぜ退任するのか?」「つらくないのか?」「今後どうするのか?」など、様々な方にご心配いただいていますが、自分自身で準備してきたこともあり、この時期に退任することに私自身は違和感はありません。

社長の交代は企業にとってとても大きなイベントですが、必ず起きることでもあります。そこで、この機会にどんな交代がよくて、どんな交代が悪いのかを考えてみたいと思います。

まず社長の交代はタイミングがとても重要だと思います。一般的に日本では古い会社ほど、代表取締役の責任感という名の下に、実際には交代した方がよいのに居座ってしまうケースもあるように思います。

例えば事業承継や事業売却といったタイミングで引き継げばよいのですが、タイミングを迷ったあげく先送りにし、結果的にうまく継承できなかったとか、経営が悪化したタイミングで引き継いだため、事業が継続できなかった――ということが現実に起きています。

自分の次を担う人材に、会社の経営がよい状態でバトンタッチすることが重要です。もちろん、そのために自分の後継者となる人材を常に念頭に置いておくべきでしょう。交代を無責任と思わず、常に次世代の人材を確保し、任せられる体制を構築しておくことが重要です。

次に大事なのは、どのようにバトンタッチするのかということです。代表の交代は、今までより更によい方向、より新しい方向に変わる期待を生みます。しかし現実的には、会社に残った部下、特に前任者との関係が近かった人、前任者から好かれていた人たちが反発する場合が多いと思います。

特に創業者ともなると色々な情や縁、思い出などが残っていて、なかなか捨てきれない場合が多いです。今まで頼られていたのに頼られなくなる、そんな時にかわいがっていた元部下から相談を受けてがぜんやる気を出してしまい、かえって社内を混乱させてしまうということになりかねません。

社長を任せるということは、責任者が代わるということです。責任者が代われば、仕事のやり方も戦略も刷新されます。そういう意味では、継承までにどれだけ後継者との信頼関係を築けるか、自分とまったく違う意見や考えでも任せられるのか、を見極める必要があります。そして一度任せたら、口をはさまず見守るしか、次のリーダーを育てる方法はないと思います。

一方で、前任者の意思を無批判に継いでしまう人を後継者に選ぶのも問題です。交代による変化を期待されているにも関わらずそれでは、何の新しい価値も生み出せません。それどころか前任者の経営の問題点までも継承してしまい、更に状況が悪くなってしまう場合もあります。

日本企業は内部から昇格昇進して経営者になるケースがほとんどです。変化が少ない時代にはそれでもよかったでしょうし、事業がうまくいっている場合も、なんとかなるでしょう。

ただ今後は、事業が大きく変化する時代になります。変革しなければいけない場合のリーダーをどう育て、どう会社でその変革を受け止め、どう変わっていくかは今後の日本企業の大きな課題です。変革をなし遂げた経験が豊富な、ベンチャー企業の経営者からリーダーを選ぶというのもひとつの選択肢かと思うのですが、どうでしょうか。

〔日経産業新聞2015年3月5日付〕

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン