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すご腕ハッカーが日本に結集 競技会、日本も健闘

山田 剛良(日経NETWORK編集長)

凶悪化するサイバー攻撃に対抗するハッカー人材を育成する――。そんな狙いで始まった「ハッキング競技会」が国内でも定着してきた。今月7日、東京電機大学(東京・足立)に世界中のハッカー90人が集結。国内最高峰のハッキング競技会「SECCON(セクコン)2014決勝戦」が開かれた。

すご腕ハッカーが世界中から集まり技術を競った(中央は竹迫実行委員長)

セクコンは4人1組のチーム戦でハッキング技術を競う。第1段階は主催者が用意した課題を解き、サーバーを占拠するスピードを争う。第2段階は占拠したサーバーを各チームが奪い合う攻防戦になる。最終的に最も多くのサーバーを占拠し続けたチームが勝つ。

課題作成に携わるサイバー大学の園田道夫教授は「勝つにはあらゆる方面のセキュリティー技術力や実戦力が必要。単純な知識だけでは勝てないように作った」と話す。

競技会開催の背景にはサイバーセキュリティーを担う次世代の人材育成がある。攻撃に対抗する防御技術のレベルを高めるには、高度な「ハッキング技術」を互いに修練するオープンな場が国内にも必要との考えだ。諸外国では既にこの種の競技会が盛だ。米国の「DEF CON CTF(デフコン・シーティーエフ)」を頂点にフランス、ロシア、韓国などで大会が開催されている。小規模な大会なら毎週末、世界のどこかで開かれている状況という。

今回は全国8カ所とオンライン2回の合計10回の予選を勝ち抜いた精鋭24チームが参加した。特筆すべきは参加チームの半分近い11チームを海外勢が占めたこと。しかも昨年のデフコン優勝チームや世界ランキング1位のチームを含む世界のトップクラスが集結した。

レベルの高い大会になった理由は今回からセクコンがデフコンの予選競技会の1つに選ばれたからだ。優勝チームは無条件でデフコンに参加できるため、それを目指す世界58カ国・地域、合計4186人の参加者のチームが予選に参加した。

実はデフコンへの招待は昨年12月のオンライン予選の前日に決定。大会実行委員長の竹迫良範氏(サイボウズ・ラボ)は「この事実を発表した瞬間に世界中からエントリーが殺到した。ローカルの競技会が世界大会に変わった瞬間を目の当たりにした」と明かす。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て13年から現職。京都府出身、49歳。

2日間で争われた競技は1位が韓国、2位が台湾、3位が米国と上位を海外勢が独占。日本のチームが4位と5位に入った。4位チームのメンバーの一人は「ホームの大会で惨敗の結果は正直悔しい」と肩を落とす。

一方で大会関係者は上位10チームに国内勢が5チームも食い込んだ結果を素直に喜ぶ。「試合の展開や課題の向き不向きで順位は変わる。今回はたまたま大きな得点差がついたが、4~5位のチームは十分世界で戦えるレベル」(竹迫氏)

竹迫氏は今後もハッキング競技会の普及をさらに推し進める考え。「競技を目指すクラブ活動が全国の中学や高校にできるのが目標」と話す。

実は決勝大会に参加した国内勢の多くには、情報処理推進機構が若手技術者の育成を狙って毎年夏に開催してきた「セキュリティ・キャンプ」の卒業生が含まれている。同キャンプで知り合い、チームを結成してセクコン予選に臨むという流れができている。

セクコンの実行委員会はセキュリティ・キャンプの運営スタッフとかなり重複する。キャンプで見いだした人材を育てる場としてセクコンが機能し始めている。長年まいてきた種が順調に育ちつつあるのだ。今回、国内頂点の大会が世界につながったことは競技人口を増やし、裾野を広げる契機になりそうだ。

〔日経MJ2015年2月23日付〕

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