2019年2月24日(日)

健康確保し脱時間給で働ける人をもっと

2015/2/18付
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働いた時間ではなく成果に対して賃金を支払う「脱時間給」制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の内容が固まった。対象者を年収1075万円以上の専門職とすることなどで、労働政策審議会で労使が合意した。

この制度は社員に生産性の向上を促し、企業の競争力を高める効果が見込める。にもかかわらず対象者の範囲が限定されたのは残念だ。活用できる人が増えるよう、今後も制度設計を見直していく必要がある。

新制度は1日8時間までといった労働時間規制を外し、これに伴い時間外勤務や休日出勤の手当がなくなる。長く働いても収入は増えない。賃金はこれまでのおおよその残業代を「込み」にして決め直すことを想定している。

社員に、効率的に働いて成果をあげるよう促す。専門性を磨く意識を持たせることにもつながろう。人材の力を高める意義が新制度にはある。

だが今回決まった制度案では、対象者は年収が1075万円以上あり、かつ、金融ディーラーや研究開発職など高度の技能を持つ専門職に限られることになった。労働法規には高度の専門職の年収要件を1075万円以上とする基準があり、これを当てはめた。

国税庁の調査によれば、年収が1000万円以上の人は役員や管理職を含めても3.9%。新制度の対象になる専門職はわずかだ。

対象者が限定された背景には、労働時間規制をなくせば過重労働を助長するという労働組合の主張がある。もちろん社員の健康確保は最も重要な点だ。

制度案では、導入にあたっては職務の範囲が明確でなければならず、本人の同意を条件とした。そのうえで企業に、(1)年104日以上の休日を設定する(2)1カ月間または3カ月間の働く時間に上限を設ける(3)1カ月間の深夜労働を一定の回数以内とする――のどれかを義務づけることとした。

今後、働く時間の上限設定などを詰める中で、健康確保策を十分に講じながら、制度を使える人が増えるよう検討してはどうか。

今回の労働時間規制の改革では、一定時間を働いたとみなして賃金を払い、出社や退社が自由の裁量労働制も見直した。対象に営業職の一部なども加える。柔軟な働き方が広がることは望ましい。その観点からも脱時間給制度の対象拡大を前向きに考えるべきだ。

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