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日本語の科学が世界を変える 松尾義之著

母国語で学ぶ大きな利点

むかし、私がカナダの大学院に通っていた時、東欧からの留学生に不思議な質問をされた。「日本は日本語で科学を教えてるの?」。なんと、彼女の母国の大学では、自国語の教科書がなく、英語で科学を教えているというのだ。実は、母国語で科学の高等教育が受けられる国は、さほど多くない。

「日本語で科学ができるという当たり前でない現実に深く感謝すること、この歴史的事実に正面から向き合ってきちんと評価し大切に伝統を保持していくこと、それが日本語で科学することの意義であり責務である」

日本が、工夫を凝らしながら、海外の言語や文化を同化し、成功を収めてきた歴史と意義。なるほどと思わされる。

私自身はキリスト教徒で帰国子女のせいか、本書の主張には、素直に同意できない箇所もある。だが、科学技術に関して、日本語で考えるメリットが絶大であることは、事実として認めざるを得ない。

著者は科学出版界の名物編集者だ。ノーベル賞の益川さんや山中さんの例などを引き合いに出しながら、現場感覚で問題の本質を鷲掴(わしづか)みにする。個性的で、ぐいぐい読ませる本だ。

★★★★★

(サイエンス作家 竹内薫)

[日本経済新聞夕刊2015年2月18日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

日本語の科学が世界を変える (筑摩選書)

著者:松尾 義之
出版:筑摩書房
価格:1,620円(税込み)

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