2018年11月14日(水)

イオン、iPadで従業員教育 接客向上へ導く

2015/2/18 7:00
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イオン中核子会社のイオンリテールが多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」を活用した従業員サービスの向上に取り組んでいる。新商品などを紹介する動画を各店に配信し、バラツキが目立つ従業員の商品知識や接客能力を平準化するのが狙いだ。誰でも理解しやすい特長を生かし、今後は同様の動画を売り場でも流し、消費者の購買につなげる予定だ。

分かりやすさを生かし、今後は店内でも商品紹介番組を放映する(千葉市内の店舗)

「薄くて軽いですね」「すべてハンドメイドなので薄く、口当たりも滑らかになります」。社内アプリ「イオンクラウドキャンパス」でワイングラスを説明する1シーンだ。仕入れ担当者が“一押し"商品の機能や特長について紹介。専門のキャスターとのやり取りやテロップを交えてポイントを簡潔にまとめて伝える。さながらテレビショッピングのようだ。

同社はこうした商品の紹介番組の作成を2013年秋から始め、これまで作品数は600本超に上る。千葉市の本社スタジオで撮影し、約350店ある全国の総合スーパー(GMS)の売り場に設けたiPad計2000台に配信している。

目指したのは徹底的な分かりやすさだ。従業員が出勤前や手の空いた時に見てもらうため番組は3分間程度にまとめた。商品の機能や用途など特長を3つ程度に絞ってコンパクトに説明。接客時にすぐに活用できるよう工夫した。

「なぜ基本的なことができていないのか」。実務訓練部の山本実部長はうなった。同社は外部機関などを使って店舗のサービス品質を定期的に調べてきたが、11年ごろをピークに満足度が下がった。特に評価が厳しいのが、あいさつや接客といった人に関わる分野。接客トレーニングなどはやっているが、来店客に伝わっていなかった。

社内調査を進めたところ、従業員の商品知識が乏しいことが要因として浮かび上がる。商品マニュアルは商品部から各売り場の担当者に送られるものの、「まるで百科事典のようだった」(山本部長)。読むだけでも時間がかかるうえ、仕入れ担当者は発売と同時に行うポイント還元や割引セールなどの説明に時間を割きがちだった。

これらのマニュアルをバックヤードなどに張っても膨大な資料にすべて目を通す時間もなく、従業員ごとの理解度にはバラツキが出てしまった。結果、来店客に商品を尋ねられても、うまく答えられないことがサービスの低下につながった。

イオンのGMS事業は長く苦戦が続いており、14年3~11月期は約300億円の営業赤字に陥った。増税に伴う買い控えなどもあるが、最終的に来店客が購入するかどうかはじかに接する従業員の接客にかかっている。こうした反省から番組の作成が決まった。

番組配信後、その商品カテゴリー全体の売り上げが平均で約10ポイント上昇したという。効果は出始めてきている。テレビショッピング風の番組は来店客にも直接訴求できるとみて、今年からは売り場にも動画の配信を開始。幕張新都心店(千葉市)の鮮魚売り場では1月下旬から青森の郷土料理「じゃっぱ汁」の作り方を30インチ程度のモニターに放映しており、徐々に対象店舗を広げる計画だ。

商品知識の平準化はできつつあるものの、従業員が客にいかに声をかけるかといった「アプローチの仕方はまだまだ」(山本部長)。接客サービスにさらに磨きをかけ、業績浮揚の一助になるのか。イオンリテールの地道な取り組みは続きそうだ。(原島大介)

[日経MJ2015年2月18日付]

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