2018年9月20日(木)

アサヒビールが道案内アプリ 「ドライ」扱う周辺店に誘導

2015/2/11 7:00
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 アサヒビールは昨年12月、スマートフォン(スマホ)向け道案内アプリ「ミセココ」の配信を始めた。ビール会社の道案内アプリとは不思議な感じだが、自社のビールを扱う飲食店をさりげなくアピールし、少しでも来店客を増やそうとの狙いだ。あえて「アサヒ」の名前を使わず、利用者の拡大を優先している。

「ミセココ」では店までの方向も表示する

味や雰囲気など5段階で評価する

 「ミセココ」はグーグルマップや飲食店検索サイトの「ぐるなび」の公開情報とリンクし、地域やジャンルごとに施設や飲食店を検索できるアプリ。店までのルートを地図で表示するほか、「ゴール方向をチェック」のボタンを押すと画面に矢印が現れ、初めての場所でも迷わず目的地に向かうことができる。

 アプリの開発を担当したのはデジタル戦略部の仲祐槻氏(29)。開発のコンセプトは「地図と食の連動」だ。「いずれかに機能をフォーカスしたサイトやアプリは数多くあるが、街の中で近くの店をパッと探せるアプリがあまりなかった」

 開発にあたって同僚らを食事に招き、アプリにどんな機能がほしいか意見を聞いた。「矢印表示」は女性社員の多くが求めた機能。「初めての場所だと、地図を見てもどっちに進めばいいか分からない」という声を反映した。お気に入りの店をリストアップし、味やサービス、コストパフォーマンスなどのレベルを5段階で評価できる機能も盛り込んだ。ここまでなら普通の店案内のアプリだが、「ミセココ」の特徴は今いる場所の近くにある飲食店をさがす「周辺検索機能」にある。

 周辺検索で表示されるのは、実はすべてアサヒのビールが飲める店。同社の情報サイト「アサヒグルメガイド」とつながっており、サイトに掲載する全国の約1万4千店のうち、周囲1キロメートル以内の店を表示する仕組みになっている。「駅に着いてから店を決めたり、食事している店の近くで2軒目を探したりするケースは多い」。ここでようやく、アサヒの店への誘導が始まる。

 2段階の設計にした理由について、仲氏は「ビール会社の人間が言うのもおかしな話だが、飲食店を選ぶ際にビールの銘柄だけを条件にする人はそんなにいない」と説明する。ビール各社はホーページなどで自社のビールを提供する店を検索できるサービスを用意しているが、メーカーのサイトから飲食店を選ぶ顧客は少数派のようだ。

 トップブランドの「スーパードライ」を抱えるアサヒは業務用ビールでも最大手。同社のたる生ビールを扱う店は全国に約26万件あるという。ただ、「最初からスーパードライが飲める店だけを探す設計だとアプリの利用者が限られる」。アプリでは極力アサヒ色を消し、アサヒファン以外にも利用を広げる考えだ。

 ミセココは立ち上げから2カ月で3万件、1年後に10万件のダウンロードが目標。利用者数がまとまれば、来店特典を設けるなど営業ツールとしての展開も検討するという。仲氏は「将来は『ミセココに載せたいからスーパードライを扱う』という店が少しでも増えれば」と期待する。ビール会社には似つかわしくない奥ゆかしいマーケティングで首位の座を固める狙いだ。(中山修志)

〔日経MJ2015年2月11日付〕

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