雨に泣いてる 真山仁著 災害後世界 熱烈に描く

2015/2/5付
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(幻冬舎・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(幻冬舎・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

演歌調のタイトルが読者を選ぶ(?)。だが、熱血の力作だ。

3.11複合災害の後、いわゆる震災小説が数多く書かれ、これからも書かれるだろう。しかし、この小説(とくに前半)のような、被災地の「戦場風景」を活写した作品に出会うことは滅多(めった)にあるまい、と思わせる。

作者が災害後世界を描くにあたって選んだ主人公は新聞記者。全国紙の社会部記者だ。彼は、震災の翌日、チームを組んで現地にとぶ。災害直後の壊滅がもたらす衝撃に抗いつつ、証言者に徹しようとする。

記者一年目に阪神大震災に遭遇し、大スクープをものにした体験が、彼を「原罪」のように苦しめる。

やがて彼の前におぼろげに見えてくるのは、一人の被災者の特異な隠れた人生だった。自殺未遂者を救う駆け込み寺の住職。津波の犠牲者になった男の背負う暗い過去。記者の使命は、それを暴き真実を世に伝えることなのか?

運命に翻弄される哀(かな)しき人間。社会派ミステリーの要素が、この小説のもう一つの環になる。

後半の急ぎ足な展開がやや不満だが、全編をおおう熱烈さは得がたい。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2015年2月4日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

雨に泣いてる

著者:真山 仁
出版:幻冬舎
価格:1,728円(税込み)

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