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膨張する医療費の抑制に本腰を入れよ

厚生労働省が公的医療保険制度の改革案をまとめた。自営業者や定年後の会社員が加入する国民健康保険(国保)の財政を立て直すことが柱だ。ただ、その財源を確保するための負担のつけ回しに終始した感がある。医療費そのものの抑制に本腰を入れるべきだ。

市町村が運営する国保は低所得者の加入が多く、加入者の年齢も比較的高い。医療費を使う割には保険料収入が少なく赤字体質だ。

改革案では、国保の運営を市町村から都道府県に移管するという。規模が大きい方が財政も安定するとの理屈だ。ただし都道府県側は移管に際し、赤字体質を改善するための財源措置を求めた。

結局、この財源は税金で手当てするほか、回り回って大企業の健康保険組合などの負担を増やすことで賄われる方向だ。これまでも繰り返されてきた「取りやすいところから取る」手法といえる。

しかし、この手法にも限界がある。健保組合も内実は厳しいからだ。高齢者の医療費を賄うための拠出金負担が財政に重くのしかかる。保険料も年々上がっている。

働く現役世代にばかり頼るのではなく、皆で負担する消費税などでもっと賄うことも必要ではないか。国保に対しては自らの努力による財政健全化も期待したい。

改革案にはほかにも負担増がある。75歳以上の高齢者が払う保険料を特例的に軽減する措置は段階的に廃止する。紹介状を持たずに大病院に直接かかる患者から新たな負担金を徴収する。入院患者の食事代負担も増やす。

これらの負担増はやむを得ないが、医療費は年40兆円にも達し、今後も増え続ける。その負担方法を考えるだけではもう立ちゆかない。医療費の抑制が不可欠だ。

改革案には予防によって医療費を抑えようとの考え方も盛り込まれてはいる。健保組合などが加入者の診療データを活用して、健康面での指導を強化するなどの方策だ。健康づくりは重要ではあるものの、効果が不透明な面もあり、これだけでは不十分だろう。

飲みきれないほどの大量の薬をもらったり、同じような検査を重ねて受けたりするなどの無駄をなくす対策を真剣に進めるべきだ。不必要な入院もなくしたい。新たに開発される高額な治療法をどこまで公的医療保険で使えるようにするのかという基準の検討も必要だろう。公的保険制度を維持するため知恵を絞りたい。

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