/

春秋

「何がクリスマスおめでとうだ!」と老人は言ってのける。「何の権利があってお前がめでたがるのかってことよ。貧乏人のくせに」。ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」に登場する、強欲を絵に描いたような商人スクルージの悪たれ口である(村岡花子訳)。

▼そんな老人だがイブの夜にかつての相棒の亡霊に出会い、翌日から3人の幽霊によってさまざまなものを見せられた。幼いころの自分、クリスマスを祝う貧しい人々の助け合い、それを冷笑してきた自らの末路……。子ども時代にこの小説を読み、スクルージが改心する場面に胸がいっぱいになった人は少なくないだろう。

▼ディケンズがこれを書いたのは1843年、産業革命期だ。当時の英国社会の格差の広がりが背景にあるといわれる。以後170年余を経たが、資本主義と格差をめぐる問題は現代人を悩ませて議論が尽きない。トマ・ピケティ氏の大著「21世紀の資本」が世界的なブームになっているのも、その焦慮の表れかもしれない。

▼格差のメカニズムに迫り、富裕層への国際累進課税を唱えるこの本は批判も含めて話題の的だ。5500円もの邦訳本が書店に平積みという光景はまれだろう。さて「クリスマス・キャロル」では、かの老人は心を入れかえ雇い人の給料を上げる。そんな物語を思いつつ、刺激的な「21世紀――」のページをめくってみる。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン