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空港で稼ぐ 好機に乗れ 仙台運営権、5日応募期限
三菱地所×ANA、街づくりで活力 三菱商事×楽天、訪日客呼び込む

2014/12/5付
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国が進める民間へのインフラ運営権売却の第1号、仙台空港について1次審査の応募が5日、締め切られる。連合を組んで受託をめざす企業は商業施設の運営、街づくりや観光客呼び込みなどの強みをアピールする一方、運営ノウハウを海外ビジネスなど他の事業に活用したい思惑がある。空港の経営安定だけでなく「空港で稼ぐ」モデルを構築できるか。

仙台空港は国が進める民間へのインフラ運営権売却の第1号

「将来は2倍の600万人にしたい」。宮城県の村井嘉浩知事は民間委託をテコに年間乗降客数を大きく伸ばす未来図を描く。しかし、地方空港の経営は厳しい。東日本大震災の影響が小さかった2010年度で仙台空港は営業収益が33億円、営業赤字は約9億円に上った。立て直しにはビジネス需要や海外からの観光客増加が欠かせない。

カギを握るのが全体の3分の1ほどを占める着陸料の引き下げだ。現在は国が着陸料を決定し、仙台空港は大型機で6万円近い。民営化後は自由に設定できる。

「ANAホールディングス(HD)が入るのか。三菱地所の陣営はかなり手ごわい」。1次審査に応募する三菱地所のグループにANAHDが入ると聞いた別の企業連合の役員はこう漏らした。

ANAグループは、仙台空港を利用する最大の航空会社だ。ANAHDは空港運営について「培ってきた知見やノウハウが最大限活用できる事業」と説明する。着陸料を下げられれば、格安航空会社(LCC)を含めたネットワークの拡充が可能だ。

ANAHDは複数の連合を見比べて最終的に三菱地所連合への参画を決めた。地方空港は「玄関口」だけでなく「街」としての要素も重要。魅力的な商品を扱う店舗の誘致など三菱地所の商業施設や宅地開発での実績が大きかった。

小売りという領域では、三菱商事陣営の楽天も競争力の高いノウハウを持つ。「楽天市場」「楽天トラベル」などでの実績をもとに、楽天市場で人気の商品を販売する実店舗や催事を開くことができる。地元小売企業がファンドを通じて運営に参画するモデルも描く。プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスを持ち地元とのつながりがもともと深いうえ、三木谷浩史社長は規制緩和論者だ。

三菱商事は三菱重工業が開発中の国産ジェット機「MRJ」を使って、近距離路線の運航業務を受託する事業を検討している。仙台空港は有力な起点となり、海外から観光客も呼び込みやすくなる。楽天はマレーシアのLCC、エアアジアによる日本でのビジネスにも関与しており、相乗効果が見込める。

「日本一訪れたい街に」――。この号令のもと東京急行電鉄などの東急グループは東京・渋谷で大規模再開発を進めている。実は再開発の責任者が、仙台空港の運営権獲得プロジェクトでも先頭に立っている。インフラ運営を新たな収益源とする戦略を描き、キーマンを起用するのは事業への期待の高さの表れだ。

「稼げる空港」は「人が集まる空港」だ。各連合は様々な思惑を抱きながら、にぎわい実現に向けて知恵を絞る。

(緒方竹虎、鷺森弘、大滝康弘)

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仙台空港(宮城県名取市)

仙台空港運営権 ANAが三菱地所と応募[有料会員限定]

2014/12/4 15:30

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