2019年1月19日(土)

死呪の島 雪富千晶紀著 漂着した「呪」の正体を考察

2014/11/20付
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(KADOKAWA・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

(KADOKAWA・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

島国である日本にとって、そのむかし海外との接触は海洋交通が中心だった。本書は、そうした海の道にまつわる非常に啓発的な物語である。

主な舞台は伊豆諸島東端に設定されている須栄島と隣の来栖島。須栄島では領主的な立場にある白波家の次男・杜弥が主人公。高校生の彼は、ある日、須栄島に、1998年に行方不明になっていた巨大な外国客船が流れ着いたのを目撃。島は大騒ぎになるのだが、このいわゆる幽霊船の漂着以降、おぞましくも奇怪な事件が頻発する。

そう。本書のキーポイントは「漂着」である。かつて柳田民俗学では、海流に乗りさまざまな異国の文物が到来し、それが日本に堆積したのだ、という説をとっていたが、本書の漂流物は「呪」である。したがって、日本における呪いの正体が考察されていく。これが、一見おどろおどろしく見える島の怪事件に、深みを与えている。さらにそれをきっかけに、いとも奇妙な風習の残る島の歴史が明らかになっていく。

地方史には未知の物語が数多く残存することを実感させる、伝奇的興味満載の傑作だ。本年度第21回日本ホラー小説大賞受賞作品。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2014年11月19日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

死呪の島

著者:雪富 千晶紀
出版:KADOKAWA/角川書店
価格:1,728円(税込み)

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