2019年7月24日(水)

TPP成否は日米の呼吸次第

2014/10/28付
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シドニーで開いた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、知的財産権の保護など次世代の通商ルールづくりで、多くの課題を積み残したまま終わった。決着を目指す各国の意気込みは感じるが、これまで目安としてきた年末までの大筋合意が達成できるかどうか予断を許さない。

11月に入るとTPP交渉国の首脳がアジア域内に集まる国際会議が集中する。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議から東アジア首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議まで続く一連の首脳外交の舞台を、最大限に生かさなければならない。

目指すのは地域の経済安定を支える貿易・投資の枠組みづくりである。交渉を主導する日米両国の政権は、大局観を持って交渉に臨むべきだ。それぞれが国内に抱える特定業界の利害関係に目を奪われていないか、何が国益なのか、日米の政権はいま一度、自らにしっかり問い直してほしい。

中間選挙を控える米オバマ政権は、自動車業界を手厚く保護する姿勢を崩さない。輸出志向が強い農・畜産業や医薬品、著作権など個別業界の要求に振り回されている印象も強い。安倍政権は農業改革の看板をかかげるが、市場開放と農業制度改革に大胆に踏み出す意気込みは感じられない。

政治的に難しい国内事情を抱えるのはどの国も同じだ。だが、現在のTPP圏の経済の約8割を占める日米の責任は格段に重い。保護主義勢力に迎合せず、率先して改革を実行し、環太平洋に安定した経済秩序を築く責務がある。これこそが国益にほかならない。

劇的な成果こそ見えないが、シドニー閣僚会合では実質的な協議が進展した。今後の焦点は、協定締結に向けて高まった交渉国の機運を、どう維持するかに移る。

そのためには米国の中間選挙後に、まず日米が呼吸を合わせて関税交渉を決着させるべきだ。大国のエゴや特定業界の利害調整ではなく、地域全体の成長を追求する姿勢を率先して示してほしい。

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