ホテルステイ、女性同士で居心地良く 「渡韓ごっこ」や美容トーク満喫
ミレニアルスタイル
長引くコロナ禍、若い世代は仲の良い友人と直接会いたがっているようだ。クロス・マーケティング(東京・新宿)が6月に実施した「新型コロナウイルス生活影響度調査(外出編)」によると、「新型コロナによって、以前よりも友人・知人・恋人に会いに行きたい気持ちになった」と答えたのは20代女性で44.4%、30代女性で39.2%とほかの属性を上回った。

友達と過ごしたいミレニアルズには近場のホテルステイが人気だ。
ホテル選びのキーワードは「3C」(クリーン・クリエイティブ・コスパ)。清潔な客室、クリエイティビティーを刺激する内装、そして2人で1万円以下の価格。人気は東京都墨田区本所、台東区鶯谷、中央区日本橋馬喰町などで、外国人客向けに多くのホテルが建設されたエリアだ。ターミナル駅近くのような密になりにくいところが良い。
その過ごし方。28歳女性は親友と2人で午後4時ごろ、アートホテル「KAIKA東京 by THE SHARE HOTELS」(東京・墨田)にチェックインし、夕食はラウンジでテークアウトした韓国フード。館内にはアート作品を公開保管する収蔵庫があり、「映える」写真が撮れるのが売りの1つだ。
夜8時ごろ、恵比寿で買った話題のタルトを部屋で堪能して、美容トークで盛り上がった。気に入った商品はその場でネット購入。就寝は翌午前2時ごろで、朝は10時のチェックアウトまでゆっくり過ごした。
27歳女性は友人と2人で昨年開業したデザイナーズホテル「LANDABOUT」(東京・台東)に宿泊した。1階は吹き抜けのあるカフェラウンジがあり、海外を思わせるポップアートのような色使いの雰囲気が気に入った。夕食はウーバーイーツで韓国フードを注文。部屋では海外ドラマ見て、おしゃべりを満喫。夜中の3時にセルフまつ毛パーマをし、就寝は4時。朝はホテルのおいしいと評判の朝食を食べた。
22歳女性は「最近は渡韓ごっこが流行」と話す。韓国フードやドリンクを買い、韓国旅行に来ているような感覚を演出する。去年、大流行した韓国ドラマ「梨泰院クラス」の影響が強いようだ。すでに旅行サイトでは「渡韓ごっこ」の宿泊プランが登場している。
「ホテルステイは仲の良い友達だと、このアメニティのパッケージがかわいい!、この扉の色がいい!と感覚が通じる。彼氏だと反応がいまいちで、せっかくの気分が萎えるから友達がベスト」(26歳女性)
平成時代のグループで高揚して騒ぐホテル女子会と違い、本当に気の合う友達と、好きなことをしてまったり過ごす「居心地の良さ」が何より重要だ。だから「直接会うのはコロナ感染症対策の意識が同じ、本当に気を許せる友人だけ」(20代)という声が多い。
無理にテンションを上げることなく、自分の感覚を大事にするミレニアルズにとってホテルステイは「新しい日常」の延長にある。
(ブームプランニング代表 中村泰子)
[日経MJ2021年9月17日付]
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