日本の良いものを世界に
SmartTimes 公益資本主義推進協議会副会長 田中勇一氏
「本物を世界に」を経営理念とし日本にある素晴らしいモノやサービスを世の中に広げるためのデジタルマーケティングを展開するFunTre(東京・新宿)。谷田部敦社長はFun(楽しさ)をTrade(交換)しようという想いをこの社名に込めた。

「本物を世界に」の思いに至ったきっかけは大学院卒業後に入社したドイツ系化学メーカーでの体験。諸外国に比べ高い技術や質を有している日本の化学産業の魅力がドイツ人上司にとっては中国や韓国の次でしかないというのだ。
そして日本の化学産業が中国や韓国に負けている理由が情報発信力の弱さにあると気づいた谷田部さんは「日本のよいものがちゃんと発信される世の中を創りたい」と起業を思い立つ。
企業勤めを続けながら起業塾に通いビジネスプランをつくりつつ、当時広がりつつあった動画に注目し、副業として動画配信を始めた。さらにメルマガを開始。毎日配信する事だけを決めて始め、1年続けた時には動画の先生と呼ばれるようになり、2年たった時には動画の専門家として認知されるようになった。始めた時には20人ほどだった読者も5000人を超えた。
そして、2011年に数名の仲間とFunTreを立ちあげる。習得してきた動画マーケティングのノウハウを惜しみなく提供することで、個人でも事業を成功する事例が続出した。谷田部さんが特に大事にしてきたことは「自分自身に天井を作らないこと」と「失敗を恐れない精神」。
自分の子供を預ける保育園がないので自社で保育園を作りたいとの社員の申し出がきっかけで、思いきって保育園を設立。多くの苦難を乗り越えながらも地域の人にも受け入れられ、保育士にも人気の保育園としてメディアにも数多く取り上げられるまでになった。
また、コロナ禍においては、企業における事業のオンライン化などの新たなニーズに積極的に答えることで、ピンチがチャンスになる結果となった。そして、早急にオンライン化を実施したクライアントのお菓子教室が、過去最高の売り上げを実現したり、オンライン授業を始めた学習塾が各種メディアに取り上げられて事業拡大を実現したりと良い事例も多く出てきた。 これまで積み上げたマーケティングノウハウを提供するビジネススクール「マーケティングカレッジ」も好評で昨年開講以来300名超の受講生を輩出した。
ここ最近では、鳥取県の中小企業を支援する活動や長崎県西海市での雇用創造プロジェクトなど、日本全国からマーケティング支援の依頼が多数くるようになった。新たな挑戦を続けることで得たマーケティングノウハウを惜しみなく提供することで、「本物を世界に。」の活動が日本全国に広がっている谷田部さんの今後の更なる活躍に期待したい。
[日経産業新聞2021年8月11日付]
