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うれしい褒められ方は?

SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

少し思い出してほしい。あなたはビジネスの場面で同僚や上司、あるいは顧客に褒められた時、どんなふうに褒められることが多いか、そして、うれしかったもの、印象に残っている褒め言葉はなんだろうか。

昔、上司から面白い話を聞いた。「組織の文化は褒め言葉に表れる」という話だ。彼は人材事業の責任者をやっていた経験から多くの企業の人事部と会話する機会があった。彼のお気に入りの質問は「御社では、どんな褒め言葉がよく使われているのですか」だったらしい。

ここからは彼の持ち前のサービス精神による作り話もいささか交じっていたかもしれないが、話はこう続く。「ある大手建設会社ではね、『でっかいね』が褒め言葉だ。ある大手鉄道会社では『君は正確だね』と言われると喜ぶ人が多い。商社なら大概、『スケールが大きい仕事だね』かな。ところで君、加藤は、なんて言われたらうれしいの」と、彼は私に問いかけた。

私はしばし考え「そうですね。私は『新しいね』とか『面白いね』とか『斬新だね』とか言われたらうれしいです」と答えた。その人は楽しそうな顔で私をみて「ふうん。それらはきっと加藤が仕事で大切にしている価値観なんだね」と、うなずいていた。

彼の指摘は当たっていた。新しいとか斬新だとか面白いというものは度々「こうあるべきだ」という常識や、「過去ずっとこうしてきた」という慣習と対立するが、そこを超えて価値のある事業を創れる人を私は尊敬する傾向がある。

例えば、ブックオフや「俺の」シリーズの飲食店を展開した坂本社長である。どちらも再販制度や伝統的フランス料理店の在り方には反するかもしれないが新しいやり方で価値を生み成長した。

ところで6月、人事労務システムを提供するスタートアップ企業のSmartHRが156億円の資金調達を発表し、ユニコーン企業の一員となった。投資家の前田ヒロ氏は「製品と会社の戦略の一部として組織が存在している」ということが同社の強みだと評する。お客様目線で考えることを徹底する文化が、強い製品と高い顧客満足度を実現し、非常に低い解約率となっているというのだ。

さらに前田氏は同社が戦略を上手に実行できている理由としてスピードをあげている。「早いほうがカッコイイ」というバリューを掲げ、とにかく組織全体のスピード感が速いそうだ。顧客目線で要望を吸い上げ、スピード感をもって製品に反映できれば顧客満足度を高く維持できるだろう。同社はSaaSと呼ばれる業態で解約率が大事な指標である。解約率が低ければ、確実に売り上げを積み増して成長できる。

たかが褒め言葉と侮るなかれ。組織の文化、戦略と一体化すれば強力なビジネスの武器になる。

[日経産業新聞2021年8月6日付]

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