マーケティングも女性キャリアも 学び継続、オンラインで幅広く
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)
連日のオリンピックの熱戦で、テレワーク中、気もそぞろという方も多いだろう。テレワークの定着で時間を有意義に使えるようになったことで学びの時間も増えたと思っていたが、先日リクルートが発表した調査によると、日本人の学びの時間は低下したという。

デジタルの分野では、目まぐるしく新しい技術やトレンドが発生する。デジタルマーケティングという言葉もなかったころからこの業界に生息しているが、常にキャッチアップしていないとすぐに思い込みや勉強不足が露呈する。
このデジタルの世界で現在人気を呼んでいるのが、コラーニングというマーケティング学習アプリだ。スマホで隙間時間を利用して、チャットベースでマーケティング全般を学ぶことができる。現在IT業界やIT部署を中心に、150社以上に採用されている。
運営会社Growth Xのチーフマーケティングオフィサーを務める西井敏恭氏は、デジタルマーケッターとして複数の企業に関与し、「結局、組織で強くなることが重要であることに気が付いた」。KPIの設定、経験値からの概算力、そして実行。このスピードをあげるためには、基本的な知識や共通言語の有無が鍵になってくる。
現在は個人向けにはサービスを提供しておらず、企業向けのみ。費用は学習者1人当たりおよそ月額1万円、10人以上からの提供としている。
動画ではなくチャットベースで提供しているのにもこだわりがある。当初は動画も用意したそうだが、デジタルの世界は動きが速いので、変更・改訂に素早く対応できる文字や図表ベースでの提供としたそうだ。
デジタル部署だけでなく、マーケティング知識が実は必要な人事部などでも取り入れるところも増えつつあるとのこと。マーケティングスキル習得の新しいアプローチとなっていくだろう。

個人向けのサービスでも新しい動きがある。女性のキャリアに着目したLiLiだ。コロナ禍でキャリアに悩む働く女子に向け、女子に特化した自己分析、スキル学び放題やオンラインコミュニティを定額で提供する。
7月開講の100人の枠があっという間に埋まり、20人追加枠を設定したそうだ。LiLi代表取締役の廣岡絵美氏は、「このサービスを通じて、人生に正解はないこと、だからこそ学び続ける意義を知ってほしい」と話す。
女性のキャリアは、ライフステージのバリエーションが多く、自己肯定力や成功実感を持ちにくい。LiLiでは、女子に特化した自己分析(キャリアの棚卸し)というプロセスを重視し、その伴走者のメンター役を設定している。月額1万1000円(税込み)。今後は、受講者のリアルな交流イベントなども情勢が許せば積極的に企画していきたいそうだ。
オリンピックで10代の躍進が目覚ましいが、ルクセンブルクの58歳の卓球選手や、女子体操の46歳のウズベキスタン選手など、選手生命の長期化も同年代の自分としては喜ばしい。いや、年齢は関係ない。どのような仕事についていようが、現状の仕事や、異分野について学び続け、成長し続けることが大切だ。次の夏のオリンピックは3年後。私はどれだけ成長できているだろうか。
[日経MJ2021年7月30日付]
関連企業・業界