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コロナ後のテック企業

新風シリコンバレー 米インタートラストテクノロジーズマネジャー フィル・キーズ氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 新風シリコンバレー

7月中旬現在、シリコンバレーは新型コロナウイルス危機が収束した雰囲気が広がっている。私が住んでいるシリコンバレー中心部のサンタクララ郡なら、昨秋からの危機から、新規感染者の数がだいぶ減って、店舗などの公用場所制限がかなり緩んだ。7月12日時点、郡政府によると、ワクチン接種を受けた12才からの人口は76%に上った。この比較的高い接種比率が収束の原因だろう。

カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

コロナ危機でテック企業の多くがシリコンバレーから撤退すると予測する声が広がった。シリコンバレーの高い住宅費や混み合う通勤から逃げたいと思う人が多い。これに応じて、テック企業が事業を行うコストが高いシリコンバレーからもっと安い場所に本社を引っ越すという説だ。

実際どうなっているのか。ランチ時間にレストランの駐車場が混み合うのはシリコンバレーの危機前の普段の風景だ。渋滞はしているが、車の数を見るとまだ通勤をしている人は少ない。報道によると、サンフランシスコ湾周辺を走るBARTという地下鉄の乗客数が危機の始まりより増えているが、危機前の数にまだ届いていない。

もう一つのシリコンバレーの経済的「元気さ」を知るための指標は商業不動産市場の動向だ。ビルの駐車場の利用率や「空きビル」の数を見るのは一つの方法だ。テック企業の多くは社員に対して職場に戻れという指示をまだ出していないので、この指標からはっきりしたことは現時点では判断できない。

しかし、商業不動産関連のニュースを見ると、シリコンバレーの市場はまだ元気そうだ。Fry,sという家電量販店が倒産したが、同社はシリコンバレー内で広い土地をカバーする店舗と駐車場を持っていて、その一つを潰して、約18万平方メートルのオフィスビル街を建てる計画を進めている。グーグルも2017年からサンノゼ市下町に近い約32万平方メートルのオフィス・キャンパスの建設計画を進めており、22年に建設を開始する予定だ。

オフィス市場も復活する兆しがある。大手商業不動産企業Colliers社の調査によると、21年第2四半期で、サンタクララ郡とその周辺のオフィス・リース市場は18年第2四半期以降の記録を超えた。オフィス家賃は1フィート四方あたり5.26ドル(約580円)、21年第1四半期より11セント(約12円)にあがった。

新型コロナウイルス危機が収束しているうえ、テック企業は社員がオフィスに戻る対策に検討している。だが、今後の主流は「ハイブリッド型」、つまりオフィスや実家の両方で仕事をすることを許すことになりそうだ。

報道によると、危機中シリコンバレーから引っ越しする人たちの多くはカリフォルニア州から離れた場所より州内の場所に引っ越した。危機が弱まってくると、この人たちがシリコンバレーに戻ってくるという。シリコンバレーの商業不動産業界はテック企業は当分の間シリコンバレー内にオフィスを持つほうに賭けている。

[日経産業新聞2021年7月27日付]

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