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海の家刷新、地域集客に的 皆生温泉海岸(鳥取県米子市)

おもてなし 魅せどころ

NIKKEI MJ

鳥取県米子市の皆生温泉海岸で夏のにぎわいを少しでも取り戻すための取り組みが進んでいる。2020年はコロナ禍での温泉旅館の休館などもあり利用客が激減、夏場の海水浴場の開設日数も例年の半分に短縮された。21年は多少日数を増やし、新スタイルの海の家を設けるなどして、地元や近隣地域の集客を軸にしたマイクロツーリズムの喚起を狙う。

新しい海の家の設置イメージ(米子市観光協会提供)

米子市観光協会は、ユニットハウスの海の家3つを夏場の海水浴シーズンに設置する。デザイナーによる斬新な絵柄をペイントしたモダンなデザインが特徴だ。ユニットハウスの前には飲食のためのテーブルを並べ、展望デッキを設ける。

皆生温泉海岸は夕日が島根半島方面へ沈んでいく景色の美しさが売りのひとつ。日が落ちた後も水平線にきらめくイカ釣り漁船のいさり火で幻想的な海となる。展望デッキでそうした景色を楽しめるようにした。

例年、海水浴場の開設時期は7~8月の50日間だが、20年は感染防止の一環として25日間に減らした。入り込み客数も例年の5~6万人から約2万人にとどまった。21年は7月16日からの38日間に開設期間を増やしている。「コロナをにらみつつ、最も人が来る時期に絞り込む」(米子市観光協会)考えだ。

皆生温泉は1920年に本格開発が始まり、2020年に100周年を迎えた。コロナ禍のなか予定していた記念イベントなどが中止・延期となった。同協会では21年は仕切り直しの事業「KAIKE101」を展開する。海水浴場の海の家の刷新もその一環だ。海水浴場の名称も公募で決めた「皆生温泉海遊ビーチ」に7月16日から変更した。

皆生温泉海岸は上から見るとおわん状の小さな湾がいくつもならんだ珍しい海岸線をしている。これは古来、山陰で栄えたたたら製鉄の盛衰の名残りだ。皆生温泉の泉源はもともとは海の底にあったが、たたら製鉄の川で砂鉄を採取する鉄穴(かんな)流しによって、海に流れ出た砂が陸へ押し戻され海岸を形成し、開発が進んだ。

その後、たたら製鉄が廃れるにつれて海岸の浸食が進み、泉源が失われ、温泉旅館の多くが廃業を余儀なくされる苦難の時代があった。

1970年頃に消波ブロックを間隔をあけて沖に設け、海岸浸食は防げるようになった。この影響でブロックの背後のみに砂州ができるようになり、おわん型の小さな湾ができるようになった。

砂浜と温泉旅館が建ち並ぶ区域との間には遊歩道が続く。行楽客でにぎわいすぎない適度な静けさのなかで、歴史に思いをはせながらユニークな海岸線を横目に夏の海岸をそぞろ歩きするのも一興だ。

(鳥取支局長 毛塚正夫)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2021年7月26日付]

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