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正しい「エンパワー」の使い方

SmartTimes レランサ社長 スティーブン・ブライスタイン氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

社員に権限を与えると、モチベーションにもなるし、ビジネス結果を上げる要因ともなり得る。一見するとエンパワーメントのように思われる形だけのエクササイズほど不信感を生み出すものはないということは、しっかり覚えておく必要がある。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

私はエンパワーメントをこのように定義している。「自分個人の働きを通してビジネス結果に貢献する能力」だと。エンパワーメント自体は決断に関係するものではなく、また単に権限だけを指すものでもない。エンパワーメントには社員がビジネス結果を出す能力が含まれていなければならない。

ある企業の最大の営業部門の部長は何億ドルという売り上げの責任を担っていた。彼は戦略開発ワークショップを開催し、そこでマネジャーの士気を上げることを期待していた。

彼らに戦略をデザインさせれば、彼らも責任感を覚え、モチベーションも積極性も上がるだろう、と考えた。ところがそれは机上の空論にすぎなかった。

実は彼と最高経営責任者(CEO)はその戦略をすでに大部分作成済みだったのだ。営業部長はそのことを知ればマネジャーたちの士気が下がる可能性があると考え、ワークショップ中は、そのことを彼らから隠していた。

そして実は既に決まっていた戦略に行きつくようにあらかじめ計画された戦略開発エクササイズをやらせたのだ。そのような策略にマネジャーたちが誰も気付きはしない訳はなかった。

戦略ワークショップの前にある戦略決定が既になされていたからといって、マネジャーたちがやる気をなくすというわけではない。ほとんどの場合、戦略の中にはマネジャーや社員の範囲外のものがあって当たり前なのだ。

戦略ワークショップでは、その制限のある部分、ない部分を明確にすることで、参加者にパワーを与えるのだ。制限がないなどという振りをすることは間違いだ。

マネジャーや社員全員に自分たちがいつでもビジネス結果を出す力を与えられていると感じさせる必要などない。必要な時、必要な場面でビジネス結果の一部に対する権限を与えるだけでも、大体は十分なのだ。

ビジネスで結果を出すために必要な場面で助けを求めることは、彼らへのエンパワーメントとなる。また、助けを求めることほど効果のあるエンパワーメントはない。

人を助ければ、人はとてもパワーを感じるものなのだ。他人をエンパワーメントすることはできない。人は自分で自分をエンパワーメントしなければならないからだ。

あなたにできるのはその邪魔となっている障害物を取り除いてあげることだ。自分に与えられたパワーを使うかどうかは、社員一人ひとりにかかっている。

[日経産業新聞2021年6月16日付]

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