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讃岐うどんの粉から餃子 香川の「新名物」はモチモチ

NIKKEI STYLE

香川県といえば讃岐うどん。ブランド価値を高めるために小麦の新品種まで開発した。そんなにうまい小麦なら、ギョーザの皮に使ってみよう――。県内の中華料理店などが連携し、地元産の食材を活用した「讃岐餃子」を開発した。皮の素材は共通だが、具や調理法は各店それぞれ。

讃岐餃子のプロジェクトは、昨年秋に高松市で開催予定だった中華料理関係者の全国大会がきっかけだった。大会開催地として、地元をPRできるギョーザの開発が始まった。条件は県が開発した小麦「さぬきの夢」のうどん粉を皮に、具材に県産食材を積極的に使うこと。

企画した香川県中華料理生活衛生同業組合の高照恵理事長は「ブランド豚を使うとコストが合わないという意見も出たが、1万円のギョーザがあってもいい」と開発を後押しした。全国大会は新型コロナウイルスの影響で延期になったが商品は各店舗が提供することになり、現在高松市内を中心に17店で味わえる。

うどん用小麦粉を使用しているだけに、食べてみるとモチモチした食感がするが、中身は料理人の個性がにじんだギョーザばかりだ。

高松市の中心商店街にある「中国料理 北京本館」のギョーザは具に地元の瀬戸内レモンを使う。「レモンを搾ってかけてください。さわやかな瀬戸内の情景が浮かびますよ」と取締役総料理長の中井和人さん。ほどよい酸味がきいていて、ギョーザのイメージを覆す感じがした。「青い時のレモンをかけると香りがすばらしい」という。

同市西部にある「China長江 柳迫店」のギョーザは、主食として食べるギョーザを意識し、皮の食感にこだわって作った。つるっとした中にも歯触りがあり、香草や紅油の香りもアクセントになっている。店主の柳迫勉さんは「四川料理の師匠から学んだ古典的ともいうべき料理を提供していきたい」と話す。

「こだわりラーメン あぶらや」(同市)は黒ニンニクを具に入れた。素材の黒ニンニクを口にすると、独特の甘みが広がる。代表の大森敬弘さんは「付加価値を出したいが、ラーメン店なので値段の高いギョーザは出せない」。そこで黒ニンニクを自家栽培して加工するなどコスト削減に取り組み、5個400円という価格を実現。「家族で、いつも食べられる食品というスタンスは崩したくない」

讃岐餃子は店内だけでなくテークアウトやネット販売を手がける店もある。ウェブサイト「かがわの食Happyプロジェクト」で確認できる。

<マメ知識>香川、ニンニク出荷は2位
 香川県は面積が全都道府県で最も狭く、耕地面積の広さも下位だ。また降水量が少なく、ため池に依存している。農業振興の観点で厳しい面もあるが、それでも全国有数の産地になっている食材がある。
 農林水産省の2019年産野菜生産出荷統計によると、ニンニクは収穫量で全国3位、出荷量では2位。ギョーザ開発で強みだ。また香川県によると、金時ニンジンは生産量が1位、たまねぎも上位。レモン栽培にも適し、こうした素材を使う店もある。意外に多彩な県産食材が讃岐餃子を支える。

(高松支局長 竹内雅人)

[日本経済新聞夕刊2021年5月27日付]

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