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ゲームを通じた社会貢献

SmartTimes 公益資本主義推進協議会副会長 田中勇一氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

ゲームを活用した社会貢献事業を展開するのはゲーム・フォー・イット(東京・千代田)社長の後藤誠さんだ。障がい者就労支援や生活習慣病予防などに役立つゲームを開発する。後藤さんが社会貢献活動でのゲームの可能性を信じるのは、自身がゲームで救われてきたからである。

1992年住友銀行(現三井住友銀行)入社。新銀行東京とイオン銀行設立に参画後、キャリア支援のリソウルを設立。2010年に社会起業大学を設立。公益資本主義推進協議会副会長。

中学生のころ、父親が経営していた会社が倒産し、借金取りが毎朝家に来た。祖母は認知症を患い母と介護をし、学校ではイジメにあう日々。学校の休み時間は話しかける友達もいなく図書室にしか居場所がなかった。そんな時に支えになったのがTVゲームとプログラミングだった。いつかすごいゲームを作ろうと独自で学んだ。

高校生になるころには、ゲームのプログラミングができることで一目を置かれ、近くの高校から訪ねて来る人が出るほどだった。卒業後上京し、新聞奨学生制度を活用しながら予備校に通い夜間大学に合格。夜間は大学に通いつつ、念願のゲーム会社で働き始める。

最初はアルバイトだったが、自身がプログラミングしたゲームが店頭に並ぶほどに活躍し、すぐに正社員となる。その後、フリーランスに転身、結婚を機に大手ゲーム会社に入社。30代半ばで参加したゲーム開発者向けカンファレンスで衝撃の出会いがあった。

それは「シリアスゲーム」という様々な社会課題の解決を目的としたゲームのジャンルで海外ではリハビリや教育、社会変革などで活用されているというのだ。オランダやフランス、米国では、すでに数百社の専門会社があるという。

日本でも脳の老化防止に役立つ「脳トレ」や、ゲームを通して英語を学習する「えいご漬け」があるものの、海外に比べてシリアスゲームは未開の分野であることを知った後藤さんは、2018年、同ゲームの開発を目的とした会社ゲーム・フォー・イットを立ち上げる。そして、ゲームを活用した障がい者就労支援のビジネスプランがVenture Bankビジネスプランコンテストで最優秀賞を受賞した。

ゲーム開発で培ってきた、より興味を持たせ継続させる仕掛けや適度な目標設定によるモチベーションコントロールなどを活用し、利用者がやる気をもって職業訓練をしたり、利用者自身の「得意」を「見える化」したりする仕組みが評価された。

障がい者就労支援にとどまらず、引きこもり対策や認知症予防などの社会課題解決に向けてチャレンジを広げている後藤さんは開発に必要な人が集まってきている現状に明るい未来を感じている。若い世代を中心に「社会の役に立ちたい」という考えが確実に広がっているのだ。

ここから社会をより良くするゲームがたくさん生まれていくことを期待したい。

[日経産業新聞2021年5月26日付]

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