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ワクチン接種、経済に直結

SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

米国・ニューヨークで「ワクチン・ツーリズム」が始まった。新型コロナの影響で激減した観光客を呼び込むため観光客に対して無料で新型コロナのワクチンを提供するというものだ。接種会場は年末のカウントダウン風景でも有名なタイムズスクエア。現在のところ、米国内の居住者が対象だが、海外からの観光客でも国内に親族などの住所があれば受け入れている。

ワクチン・ツーリズムに取り組む国は今後も増えそうだ。モルディブ共和国は「3V戦略(Visit, Vaccine, Vacation)」により同国への渡航を促していく方針を発表。同国の国内総生産(GDP)の約7割が観光産業からもたらされているため観光客への予防接種体制を整えることが復興の大きなステップとなることが期待されている。

米国内ではまず国内の移動・旅行が復活しており、航空会社勤務の友人によれば、現在、ハワイ州への航空座席は満席状態が続いているそうだ。また国内のみにとどまらず、ワクチンの接種を終えた米国人旅行者は今夏、欧州連合(EU)への渡航が可能になる。

EUはコロナ感染拡大を防ぐため、ほとんどの国から域内への不要不急の渡航を1年にわたり禁止してきたが、これにより大西洋をまたいだ行き来が再開する。こうした取り組みは「トラベルバブル」と呼ばれており、十分な感染防止策を施して感染を抑えられている国同士が安全なバブル(泡)の中を隔離措置なしで自由に行き来することを指している。

5月4日時点のワクチン接種率(1回でも接種した人の割合)は米国の44.2%に対し、日本は1.9%。欧州連合(EU)の平均はアメリカにおよばないものの25.6%に達している。グローバル経済社会において国際的な交流が再開することは、今後、米国・EU各国のGDP成長率を押し上げていくと予想される。GDP成長率の見通しは「アメリカ∨EU∨日本」であり、通貨の強弱についても「ドル∨ユーロ∨円」となるだろう。コロナ脱出への出口の唯一の鍵としてワクチンが注目される中、日本でのワクチン接種率を高めていくことが、近い将来の国際金融市場での日本への評価、日本経済全体への影響に直結している。

英国では医療関係者ではない一般市民からボランティアを募り研修育成することで接種できる要員を大幅に拡大した。米国では接種希望者をいかに増やすかという段階に入っており、米大リーグのマリナーズはシアトルの本拠地にて試合来場客に対して無料で予約不要のワクチン接種を開始した。日本でも神戸市は大規模接種会場を新たに設け、そこでは歯科医師も接種に参加すると発表。今こそコロナ禍という戦いからの出口に向かって政府・自治体・国民が一体となって進むべき時期だ。

[日経産業新聞2021年5月24日付]

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