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営業プロセスを管理する

SmartTimes ネットイヤーグループ社長 石黒不二代氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

私は留学してからそのまま米国を拠点に仕事をしていたが、おそらく日本でずっと仕事をしていたら気づかなかったことにいくつか遭遇をした。その一つが、日本で業績が良い会社は得てして営業が強い会社である、ということだった。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

ある日、協業相手として「アラスカで氷を売る男」を紹介したいと言われた。なるほど、すごい営業力なのだろう。しかし、マーケティング会社を経営する私としては聞き捨てならない言葉である。なぜなら、強い営業とはいらないものでも売ってくる営業で、マーケティングとはその営業がいらない仕組みを作ることだからである。

日本企業は仕事の仕組みを作ることが下手だと思う。朝礼での掛け声に始まり、ド営業と言う言葉もある。「あ・うんの呼吸」「暗黙知」など、全て仕組みやプロセスを軽視する態度や言葉が横行する。

この営業の仕組みづくりにまず成功したのは米国だった。東京と異なり、米国は広大だ。かつては、米国でもリード(見込み客)の獲得から受注までを営業が担当していたが、営業が製品を持ってまだ製品の存在さえ知らない顧客を求めて国中を飛び回るのはあまりに効率が悪い。

まず、リードの獲得という役割をマーケティング部が担うようになった。すると、マーケティングが持ってきたリードがゆるい、商談に結びつかないと営業が文句を言うようになる。

だから、マーケと営業の間にインサイドセールスという役割の部署がおかれた。リードを商談につなげるように製品やサービスの効用を知らせ、顧客の興味を喚起する役割だ。リード作りをマーケティングが、商談作りをインサイドセールスが、提案や契約を営業が担うようにした。

果たして、そんな営業行為の細分化やプロセス化が必要かと異を唱える人に思い返してもらいたいのは、日本が誇る生産管理の仕組みだ。製造業では、資材の調達から、製造ラインへの供給と生産活動、作業員の配置、在庫管理、品質チェック、など、工程それぞれの最適化がなされている。

マーケティングという前工程から顧客をしっかり管理し、営業という後工程まで渡すプロセスと同様だ。日本の生産管理は世界で絶賛され輸出されている。

同様に米国で生まれた営業のプロセス管理は大成功を収め、このリード作り→商談作り→提案・契約というプロセスを日本は輸入の最中だ。しかし、形だけまねても決して成功はない。

そこでは、生産管理のように、プロセスやタスクの定義をし、それを担当部門の人が理解し、それを全うする。定められた重要業績評価指数(KPI)を定義し、それを達成することが必要なのだ。これを行えば、もう、アラスカで氷を売る男はいらない。誰がやっても達成できる再現性がそこにあるからだ。

[日経産業新聞2021年5月19日付]

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