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春のドイツは白アスパラ 朝に収穫、1キロ2000円

NIKKEI STYLE

 春になるとドイツの街のいたるところに小さな屋台が現れる。売っているのはドイツ語で「シュパーゲル」と呼ばれる白アスパラガスだ。

「今年のシュパーゲルもおいしいわよ」。よく晴れた4月の昼下がり、フランクフルトに近郊の農場から販売に来ているズフナーさんの屋台には、近所の人がひっきりなしに訪れた。

太く立派な白アスパラは1キロ15ユーロ(約2000円)。高級野菜といっていいが、白アスパラに目がないドイツの人々は長い冬が終わったことを喜ぶように買い求める。スーパーでも購入できるが朝に収穫した新鮮な地元産は農場直営の屋台ならではだ。

屋台が出るのは4月中旬から6月24日までという期間限定で、たいてい同じく地元産のイチゴと一緒に販売される。やはり出初めが高く、徐々に値段がこなれていく。今年は1キロ20~25ユーロと過去最高値でシーズンが始まった。理由の1つは新型コロナウイルスだ。

土の中から白アスパラを傷つけないよう引き抜く作業は重労働だ。このため東欧などから季節労働者を呼び寄せることが定着している。だが、コロナで例年のようにはいかなくなっている。

「厳しい入国・衛生規制に加え、より広い居住スペースを用意する必要があり季節労働者を雇うコストが高くなっている」とヘッセン州農業連盟の広報担当者は話す。コロナで休業・失業中の人が志願して収穫を手伝っているが、外国人労働者に頼る現状は大きく変わらず、20年は全国で前の年より約2割収穫が減った。

こうして家庭に届けられた白アスパラは、外皮を大胆にむいて柔らかい部分を煮るのがオーソドックスな調理法だ。

溶かしたバターやゆで汁と合わせたオランデーズソースや生ハムなどと合わせて食べる。サラダに入れるのも人気で、天ぷらやおひたしなど和食にしてもおいしく食べられる。

変異ウイルスの流行でレストランの再開のめどがたたないなか、今年も春の訪れを告げる白アスパラを求めて屋台へ足を運ぶ人が増えそうだ。

(フランクフルト=深尾幸生)

[日経MJ 2021年5月17日付]

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