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睡眠管理、深夜0時台の利用増 コロナ下で「遅寝遅起き」に

読み解き 今コレ!アプリ フラーシニアディレクター 木下大輔氏

NIKKEI MJ

スマホアプリのデータは、単に個別のアプリの利用動向を示すだけでなく、人間生活の根源に関わる行動様式の大きな変化を捉えるバロメーターになる。外出自粛が続く中、睡眠に関わるアプリの利用がこの1年で大きな変容を遂げ、コロナ禍で人々の睡眠が大きく揺れ動いていることが見えてきた。

フラー(新潟市)が手がけるアプリ分析ツール「AppApe(アップ・エイプ)」によると、「グーグルプレイ」の「健康&フィットネスカテゴリー」のアプリ月間利用者数(MAU)上位100アプリのうち、睡眠時間の管理を主な機能とした主要6アプリの2020年1月の合計MAUは約186万人だった。それが20年8月になると約128万人と3割減った。(データはすべてアンドロイド)

緊急事態宣言をきっかけとした巣ごもり・インドア志向の高まりに加え、リモートワークやオンライン授業への移行で通勤・通学時間が減った分、自宅での可処分時間が増大。睡眠管理の優先度が低下したと筆者は考える。

しかし、その後は再び上昇基調となり、21年4月には約180万人と20年1月と同水準にまで戻った。前年同月比では14.7%増だ。一定の層で通勤・通学が元に戻りつつあるだけでなく、リモートワークが主流となった人々も睡眠管理へのニーズが高まっていることをデータは示していると筆者は見る。

その理由が、時間帯別の利用率の変化だ。一般に睡眠管理アプリは1日の中で寝る直前と起床時の2回、利用のピークがある。午前6~7時台の6アプリの合計MAUに対する平均時間別利用者数の割合から算出した「時間別利用率」は、20年4~10月には3.4~5.2%だったが、11月以降、5.1~9.0%に上昇した。

さらに、20年10月以前は午前8時台の時間別利用率は4%を超えることはなかったが、コロナの第三波が顕著となった12月以降は全ての月で4%を超えている。朝の起床時間が後ろ倒しになっている形で、コロナの長期化で生活習慣がダイナミックに変化したと言えるだろう。

深夜の時間帯の利用増も顕著だ。20年4~10月は3.7~5.1%だった午前0時台の利用率は、20年11月~21年4月は5.4~8.7%に。夜型の生活様式となっている人が増えていることをデータは示している。

筆者自身の生活を振り返っても、昨年の4~9月までは非常事態モードでコロナ以前の生活の延長にあったが、10月以降、影響が長期化・深刻化するにつれて日々の生活時間帯が大きく後ろにずれた。睡眠を含む社会全体の生活時間帯の変化は、そのまま人々の消費や購買の変化に直結する。人々の基本的な生活行動の変化をマクロな視点で捉えた上でのマーケティングやブランディングが今後ますます重要になるのは間違いない。

4月25日から始まった3回目の緊急事態宣言は5月末まで延長が決まり、対象地域も拡大した。コロナ禍の生活の長期化が避けられない中、人々の生活の息遣いが見えるアプリのデータの変化は、私たちの社会全体の写し鏡として注目する必要があるだろう。

[日経MJ 2021年5月12日付]

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