この記事は会員限定です吉行和子（2）母との旅
まるで手の掛からぬ90代 「この人面白い」ようやく親子に
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幼いころを振り返る前に、まず、母との旅の話をしたい。1998年、91歳になった母と旅行をした。何日間も、寝食を共にすること自体、そのときが初めてだった。
むろん、子供のころは同居していたし、大人になってからも同じマンションの別室で暮らした。けれど父が早く亡くなったこともあって、母はずっと美容師として働いていて、幼いころは、私や妹が目を覚ますころにはもう出かけていた。枕元には、小皿に載ったひとかけ...
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テレビドラマや映画でおっとりと優しい存在感を放つ女優の吉行和子さんは、幼いころからぜんそくに苦しんだことで、精神的に鍛えられたといいます。連載では97歳まで現役美容師を続けた母あぐりさん、作家の兄淳之介さん、妹の理恵さんら、個性的な家族のエピソードが読みどころです。幅広く活躍する女優として、石原裕次郎、宇野重吉、杉村春子ら、これまで出会った名優やスターの思い出も披露してくれます。
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