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江戸の宿場、地道な復元実る 大内宿(福島県下郷町)

おもてなし 魅せどころ

NIKKEI MJ

江戸時代の宿場の街並みが残る福島県下郷町の大内宿。伝統的な茅葺(かやぶ)き屋根が連なる風景が国内外からの観光客に人気だ。ただこの景観は古いものをそのまま保存し続けただけではなく、一度近代化の波を受けたあと地道に復元活動を続けてきた結果でもある。

大内宿は江戸時代の宿場の建物が軒を連ねる(福島県下郷町)

大内宿は会津地方と栃木県の日光を結ぶ会津西街道の宿場町として栄えた。会津藩の厳格な管理に置かれたこともあり、同じ構造の重厚な建物が道の両脇に整然と並ぶ独特の景観が生まれた。

千葉県から友人と車で来た会社員の女性は「古風な建物が周りの風景とマッチして昔話に出てきそうな雰囲気」と驚く。

現在300メートルほどの旧街道沿いに47棟の建物が並び、そばなどの郷土料理店やお土産店を営んでいる。特産品として箸の代わりに一本のネギを使って食べる「ねぎそば」が有名なほか、会津塗として知られる漆の塗り物が人気だ。

中心部には「大内宿町並み展示館」があり、江戸時代の生活や大内宿の歴史を知ることができる。

明治期に道路や鉄道が整備されると山あいをぬって歩く旧街道は使われなくなり大内宿は衰退した。一方、そのことが古い建物や街並みを開発から守ることにつながった。

ただ、47棟のうち十棟余りの屋根はトタン張りだ。戦後しばらくするとコストが安くて長持ちするトタン屋根にする動きが広がったためだ。

この20年は1~2年に1軒ずつ茅葺き屋根に戻す動きが続いている。公的な補助金が出るものの建物の所有者に自己負担が発生するため復元のペースは緩やかだ。

同様に建物のアルミサッシを木製の雨戸に戻したり、舗装した道路のアスファルトを撤去したりする活動を続けて今日に至っている。

全国的に人気が高まり、安定した観光収入が期待できるようになると若い人が集落にとどまり観光業を引き継ぐようになった。一時は危ぶまれた茅葺きの技能伝承も何とかめどがたちつつある。

大内宿を訪れる観光客は2011年の東日本大震災の前は年間100万人を超えていたが、最近は80万人前後にとどまる。震災による原発事故が響き、福島県を訪れる外国人が大幅に減ったことが一因だ。足元ではコロナ禍による入国制限が追い打ちをかけている。

大内宿観光協会の佐藤久夫会長は「奇抜な集客施設をつくる予定はなく、それぞれの来訪者に懐かしさを感じてもらい、大内宿の人にまた会いたいと思ってもらえる場所を目指したい」と語る。昔ながらの素朴で温かい心をどうすれば伝えることができるのか、将来に向け知恵を絞る。

(郡山支局長 村田和彦)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2021年4月19日付]

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