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「プロ社員」という生き方

SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

注目している働き方がある。中古車買い取り販売大手、ガリバーを運営するIDOMが2年前から始めた「ストアプロ」制度だ。社員と業務委託を併せ持ち、収入面で最低保証を得た上でプロの店長として働く。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

通常の店長は会社の指揮命令系統の中に位置している。スーパーバイザー社員からの助言、地域を管轄するマネジャー、本社の指示命令に基づき店舗運営する。店長卒業後はスーパーバイザー、マネジャーと昇進する。これが典型的なキャリアパスである。

ストアプロは「店長業務」のプロとして、IDOMが提供する店舗、商品、人を活用して成果を上げることが使命となる。店長業務を委託しているので、キャリアパスという概念はない。いわば「店長」を極めるものだ。

真っ先に手を挙げたガリバー春日井店の安田零さん(33歳)は「時間に対する意識が変わった。報告業務など本社やマネジャーからの指示に応えることに使っていた時間がなくなり、その分を店舗の社員との時間に充てることができるようになった」という。

会社から配属される社員たちは入社1年から2年目の若手社員が中心。この若手たちの指導に徹底的に時間を費やしたという。店舗の業績を上げるために、自分の時間をいかに配分するか。社員店長時代よりも真剣に自らに問うことになったと言う。明らかに経営者マインドになっている。

ストアプロになるには500万円の出資金を用意しないといけない。会社からの融資も受けられるが安田さんは家族の支援により用意したという。毎月18万円の給与は支払われるが、数年にわたり全国表彰されてきた安田さんのこれまでの給与と比べると固定報酬としては大幅ダウンとなる。

プロの店長としては3カ月ごとにKPIとして設定する経常利益を超えた部分の30%が業務委託報酬として支払われる。安田さんはストアプロとなり、年収が4倍になった。ただ「報酬に目がくらむと失敗する」ともくぎを刺す。

時間を気にせず思い切り働けるように社員の業務委託を進める企業が増えている。この場合、退職した上で新たに業務委託契約を締結するのが普通だ。

IDOMの「ストアプロ」はこれと異なる。社員身分は残る。100%社員に戻る道もある。いわばセーフティーネット型だ。安田さんに業務委託専業になる気はないかと聞いたところ「ない」とのことだった。ただし、その理由は安定を求めるのではなく、会社への帰属意識の強さからとのこと。ここも注目に値する。

IDOMの羽鳥貴夫社長によると「チャレンジ精神旺盛な社員が多い。ストアプロに応募する社員を増やしたい。」と言う。まさに「挑む」社だ。帰属意識とプロ意識の両方を高める「ストアプロ」制度。新しい試みとして注目したい。

[日経産業新聞2021年4月19日付]

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