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ネットフリックス独走に待った 動画配信、ディズニーが猛追

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

NIKKEI MJ

有料の動画配信サービスといえばネットフリックスが名実ともに代表格だ。日本ではアマゾンプライム・ビデオやフールーなど先行したサービスにも知名度があるが、世界では、やはりネットフリックスが抜きんでている。

ディズニープラスは利用者が1億人を突破した

とりわけ2020年のコロナ禍によって、家庭におけるエンターテインメント消費の急増もあって、動画配信サービス大手は軒並み業績を伸ばした。ネットフリックスは、全世界の有料利用者が2億人を突破したと発表した。

だが、このネットフリックスの独走に待ったをかける存在がある。19年末にサービスを開始したばかりの「ディズニープラス」が猛追しているのだ。

劇場映画、テーマパーク、そしてテレビ放送網などを事業基盤とし、ネットフリックスらネット勢力に対して守勢に回ってきたディズニーが鳴り物入りで開始したディズニープラスだが、当初は有料利用者を「24年末までに6000万~9000万人を獲得」と控えめな目標を掲げてきた。しかし、21年3月には早くも1億人を突破してしまったのだ。ネットフリックスは倍の2億人を有するとはいえ、その差が急激に縮まったことは脅威だろう。

さらには英国の調査会社がディズニープラスと、スポーツ動画配信のESPN、これにフールーの利用者を合計すると、24年にはネットフリックスを抜き去るとの予測を公開した。ディズニープラス単体でも24年にはアマゾンプライム・ビデオを抜いて2位となり、25年には首位をうかがう勢いだというのだ。それほどまでにディズニーの動画配信事業は垂直に立ち上がっている。

動画配信で劇的な躍進を続けるディズニーだが、100年近い同社の歴史の中でも最大級の危機を迎えている。コロナ禍で劇場とテーマパークという2つの収入が大きな痛手をこうむった。動画配信サービスがこれらのマイナスを補えるかわからないが、インターネットの最前線に一躍躍り出た効果は大きく、同社の株価にも好影響を与えているようだ。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

一方、追撃される立場におかれたネットフリックスも、座してそれを待つわけではない。数多くのオリジナル作品をアカデミー賞に送り込めるまでになり、ディズニーに比べて弱いとされるシリーズものの開発にも着手している。日本を含む世界各国に製作拠点を設けてその強みを生かそうと取り組みを進めており、成果をあげている。

3月にはネットフリックスが「ストレンジャー・シングス」など人気作品を大手テレビ網に配信するため、ライセンス交渉を始めたとする報道が流れた。オリジナル作品が手薄だった時代には、テレビ番組や劇場用映画からのライセンスに頼っていたことを考えると、隔世の感がある。

米国の調査会社は、米国の平均的な家庭において有料動画配信サービスを継続購入できる数は3つまでだとする。動画配信サービス市場も、これまでのように成長を追い求めるだけではなく、トップ3に入って生き残るための激しい競争環境へと変化しようとしている。先行するネットフリックスがこれからどう振る舞うかが見ものだ。

[日経MJ2021年4月5日付]

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