/

名ばかり社外取はいらぬ

SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

コーポレートガバナンス・コードの改定に伴い、東京証券取引所の再編で生まれるプライム市場に上場する企業は、社外取締役を3分の1以上にする必要がある。同時に取締役会の素養、経験、バランスを一覧表にまとめたスキルマトリックスを公表しなければならない。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開。

さらに、2020年7月に経済産業省から公表された社外取締役ガイドラインにもあるように、社外取締役のあるべき姿は、一般的な社外取締役像とは大きく異なってきていることにも留意が必要だ。社外取締役は経営陣を監督することは当然として、自らも経営陣と独立した立場で経営戦略を考えなければならない。取締役会での積極的な発言を通じて大きな方向性に責任を持つ存在になる必要があるのだ。

現状、社外取締役のバックグラウンドをみると経営経験者、弁護士・公認会計士等の専門家、金融機関出身者が多い。経営経験者については、社外取締役の平均年齢は67歳と高齢であることからも分かるように、経営者OBなどが就く閑職・名誉職であった名残が見られる。もちろん優秀な方もいるが、一般的に高齢者がコーポレートガバナンスに関する考え方や今後の経済環境の激しい変化に対応できるかどうかは疑問だ。

私は上場企業4社の社外取締役を兼務しているが、経営経験と専門的知見とを持ついわゆるプロ社外取締役といえる人材も極めて少数と言わざるを得ない。試算によると社外取締役はのべ1000人不足する見通しだというが、人材としての適格性も含めて考えた時、実質的には1000人を大きく上回るのではないだろうか。このままでは、今回の社外取締役制度の改定が形骸化することが予想される。

そこで、私は上場企業のCEOやCFOなどの経営陣が、他社の社外取締役を兼務することを提唱したい。特にCFOが他社の社外取締役を兼務することは、社外取締役人材の育成に極めて有効な手段だと考えている。現役の上場企業の経営陣は、経営判断を日常的に行っているだけではなく、コーポレートガバナンスの変化にも対応しなければならない立場にある。他社の社外取締役としてコーポレートガバナンスを支える役割を背負うことで、自らが経営する企業のガバナンスを客観視できるようになる。経営改善にもつながるだろう。

さらに、こうした人材は経営陣を退任した後もプロ社外取締役として活躍することが可能となる。社外取締役制度はコーポレートガバナンスの中核だ。私が主たる活動分野としているIPO業界で、社外取締役を含めた取締役会に対する審査は実質的に強化されていくと見ている。社外取締役に適した人材育成とその機会創出は、日本経済の発展に極めて重要なファクターとなってきている。

[日経産業新聞2021年3月31日付]

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

日経産業新聞をPC・スマホで!今なら2カ月無料

 スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。今なら2カ月無料の春割実施中!

日経産業新聞をPC・スマホで!今なら2カ月無料

スタートアップに関する連載や、業種別の最新動向をまとめ読みできる「日経産業新聞」が、PC・スマホ・タブレット全てのデバイスから閲覧できます。直近30日分の紙面イメージを閲覧でき、横書きのテキストに切り替えて読むこともできます。今なら2カ月無料の春割実施中!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン