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素人が輝く動画SNS

SmartTimes PwCコンサルティングパートナー 野口功一氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

ネット社会と言われて久しいが、歴史をひもとくと我々のコミュニケーション手段は手紙が電報になり、電話になり、携帯になり、メールになり、チャットになりと進化を遂げてきた。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

メディアの変遷もそうだ。新聞や雑誌に続きラジオができ、テレビができた。いずれも現存してはいるが、それぞれ位置付けは変わってきている。

私は昭和のテレビ全盛時代に育っているので、メディアは本当に変わったと実感している。テレビは最強の媒体で、物事を伝えたり、知識を与えたりと情報の伝達力はすさまじいものがあった。いわゆるコマーシャル枠が高い値段で取引されていたのもその存在が他の追従を許さなかったからだ。さて、現在はどうだろう。情報の取得にはインターネットに頼ればよいという意識が広がったころからテレビの存在は変わってきたのではないだろうか。広告も無料の検索サービスとのリンクによって効果がうたわれるようになり、テレビ広告が最強ではなくなってきた。

テレビのわかりやすい競合相手は動画系のSNSだろう。昔はテレビに出るというのは大変なことだった。芸能人やスポーツ選手だって限られた人間しか出られなかったし、ましてそういった職業でない人は一生に一度、テレビに出るか出られないかという話だ。ところが、SNSでは誰でも作った動画をアップすることができ、かつそれは世界のどこからでも視聴される。言ってみれば一生に一度出られるかどうかと思われていたテレビのような世界を簡単に体現できるということだ。そして、こういった動画系SNSは大勢の人に見られるようになると、動画投稿者はスターのようになる。中には広告収入モデルによって多額の報酬を得られるようになる。彼らはテレビに出演している人材よりも価値が上がり、テレビに出演している人たちのほうが彼らと一緒にコラボレーションするという動きも起きている。

このような逆転現象は非常に興味深い。例えばシェフとして既に世界的な名声を確立している人がいるとする。一方で、料理人として知名度はないものの、街のレストランで真面目に働き動画SNSをマメに投稿して多くのファンを獲得している人もいる。これは、現実の仕事におけるブランディングや名声がデジタルの世界では全く違う価値観となってしまうことを意味する。

さらに、今までは素人の牙城だった動画系SNSにプロである芸能人やスポーツ選手がどんどん参入している。もともと知名度があるうえ、コンテンツ制作にも慣れているとなると、いくら人気のある素人の配信者でもかなり危機感を持つだろう。今後、素人とプロのどちらかが動画SNSの世界を席巻するのか、はたまた共存を果たすのか注目している。

[日経産業新聞2021年3月26日付]

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