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身隠す仕掛け、特命に思い 弘前忍者屋敷(青森県弘前市)

おもてなし 魅せどころ

NIKKEI MJ

時代劇や漫画、小説などに登場する忍者。忍者はこれまでフィクションとして認識されることが多かった。忍者を歴史学の対象として研究している青森大学の清川繁人教授(地域貢献センター長)によると、弘前藩(現在の津軽地域)には1870年(明治3年)まで約200年もの間、「早道之者(はやみちのもの)」という身分が保障された忍者部隊が存在したことが分かった。忍者部隊が弘前の拠点としたと推測されるのが、この「弘前忍者屋敷」(青森県弘前市)だ。

屋敷の至る所に仕掛けがある

場所は弘前城のある弘前公園に隣接する弘前市役所から徒歩5分程度。木造平屋建てで広さ約120平方メートル、江戸時代後期に建てられたとみられる。外観はかなり古い普通の民家。屋敷の玄関の中の脇には隠れて外を見張れる場所がある。玄関から入って一番近い部屋に入ると、うぐいす張りの床を踏むことになり音が鳴る。壁の裏側に1人がなんとか入れる狭い空間が異なる部屋に1つずつ計2カ所ある。身を隠すために作ったとしか思えない形状だ。

所有者は弘前市職員の佐藤光麿さん。地元では「忍者屋敷」があることは知られていたという。佐藤さんの前の所有者が売却することになり、青森大の清川教授らが保存・活用できないか模索。屋敷は以前の所有者が増築した部分があることなどから、弘前市が文化財として購入することは難しいことが分かり、佐藤さんが「取り壊すことになれば、あまりにももったいない」と、弘前の観光資源として活用を目指し、退職金を充てて購入した。

清川教授によると弘前藩が雇用した「早道之者」の役割は、領内の治安維持、敵対する南部藩(青森県東部)との境界の監視や北方警備、薬草の収集や管理など多様な任務に当たっていたという。そのような危険な業務に当たっているため、身を素早く隠せる空間など防御的なつくりにしたと推測されている。

これまで青森県の旅行会社などが忍者屋敷を含めた弘前の街歩きツアーなどを実施。県内各地から幅広い年代が参加して人気だった。清川教授が顧問をしている青森大学の忍者部が忍者ショーなどを披露して協力している。

このほど所有者の佐藤さんが忍者屋敷の一般公開を始めた。佐藤さんが30~40分ぐらいかけて屋敷の解説をしながら案内してくれる。佐藤さんは「唯一現存する甲賀流忍者屋敷。将来的には忍者ミュージアムのようにもしたい。弘前城から近いのでぜひ訪ねてほしい」と話す。当面、土・日限定で入館料は1人500円。

(青森支局長 山田伸哉)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2021年3月22日付]

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