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DX、立ち位置から考える

SmartTimes グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮慎一氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

新型コロナウイルスは商品、サービスを提供する企業側に待ったなしでDX(デジタル・トランスフォメーション)を迫っている。DXは旧態依然とした者にとっては絶滅の危機であるが、いち早く新しいニーズに適応した者には新時代の勝者となれる機会になる。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

では、DXとは具体的にどのようなことをすればよいのだろうか。まずDXを実践する前に2つの立ち位置を確認する必要がある。ビジネスモデルや業界全体の変革を目指す事業主体としての立ち位置、事業主体のDXを支援するイネーブラー(実践の支援者)としての立ち位置。この2つだ。事業主体でいうと、例えば営業自粛を強いられている飲食業界ではイートインに加え、テークアウトやデリバリー、ECによる冷凍・冷蔵食品の販売など多様な商品形態やチャネルでの展開がはじまっている。

その変化に連動するイネーブラーとしては、例えばUber Eatsは、ユーザがデリバリーを注文できるアプリを展開し、バイクや自転車による配送も手掛けている。さらに、スタートアップの中には複数のデリバリーサービスやテークアウトの注文を一元管理したり、調理の生産管理システムを提供したりするプレーヤーが登場しており、飲食店のDXを後押ししている。

次にDXの対象領域には3つある。1つ目は、顧客と対面するフロント領域のオンライン化。アプリでのデリバリー対応やEC化などがそれにあたる。次に、オンライン化がどれだけ進んでも、リアルなオペレーションが残り続ける領域がある。そこを効率化し新しい形態に変容させるDXが2つ目だ。例えば、飲食業界では、複数の店舗ブランドで様々なジャンルの料理を一つの厨房で集中調理する「ゴーストキッチン」という新業態が注目を浴びている。複数のブランド名、多品種の注文を管理。調理工程の新たな業務設計とそれに合わせたシステムの導入を肝としている。3つ目が業務プロセス全体、さらには顧客や取引先との関わり方を再設計するビジネスモデル自体のDXだ。イートインだけだったのを、複数のブランドをゴーストキッチンで一括調理して、デリバリーやテークアウト、ECの複数チャネルで提供するといったモデル全体の刷新だ。

DXを成功に導くためには、新しいやり方に必要な組織作りや能力の養成が欠かせない。自社が長期的に競争優位性を保てる事業領域にフォーカスし続けながら、一方で自前主義の呪縛から逃れ、ノンコアの部分は積極的に外部と連携する「Make or Buy」の判断が重要となる。そして、何より古いモデルの慣性に引きずられることなく、非連続で痛みをも伴うような変化を断行していく。それにはトップのコミットメントとリーダーシップが何よりも重要となる。

[日経産業新聞2021年3月22日付]

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