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忍び寄るハッキングの脅威 身近な機器にもリスクあり

先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

NIKKEI MJ

先日、JALとANAのマイレージの会員情報が大量に漏洩するというニュースが飛び込んできた。筆者も会員なので「困ったな」と思って調べると、日本航空がハッキングされたわけではなく、スイスの国際空港情報通信機構がハッキングされたという。

パソコンだけでなくネットにつながる様々な機器がハッキングの脅威にさらされている(dpa/AP)

いまやハッキングも国境を越えて行われる時代。「野呂さんのパソコンだって、簡単にハッキングされかねない状況にある」と語るのは、シングラ(東京・品川)の沼田智博社長だ。

沼田社長は2020年からインターネットのセキリュティーに関心を持ち、独自にチームを編成。今月になって3社による業務提携を成立させたという。今回筆者はプロジェクトの中心人物であるホワイトハッカーに、ビデオ会議システムを通じて取材した。

筆者がホワイトハッカーに話を聞いてみると、自信満々で傲慢な印象もあるが、その一方で繊細に情報を積み重ねる姿が垣間見えた。

ホワイトハッカーとはサイバー攻撃やハッキングから、政府や企業などを守るのが仕事だ。すでに金融機関などからの仕事を引き受けているという。「我々の目的は、クライアント企業の全社員のリテラシーを向上させること。Wi-FiもブルートゥースもUSBも危険なことだらけ。個人が普段の業務から注意をすることが非常に大切だ」とホワイトハッカーはいう。

例えば会社の経理宛てのメールアドレスに、取引先らしい企業からの請求書が来たとする。そのPDFを誤って開いてしまうことで、簡単に会社のサーバーに侵入されることもある。普段から気をつけることはもちろん大切だが、在宅勤務になってさらにリスクは高まっているという。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

パソコンやスマートフォンだけではない。電気自動車で知られる米国のテスラは、ハッキングして脆弱性を見つけた場合、その車を報酬として提供するというイベントも開催。テスラは従来の自動車と違って、インターネットを通じて次々とソフトウエアのアップデートが行われる。その中にハッカーによる攻撃が紛れ込まないとも限らない。ハッキングの危険性がなくはないだけに、こうしたイベントを通じて脆弱性の洗い出しを図っているのだろう。最近はこうした報酬型の「バグ・バウンティ」も盛んだという。

シングラの沼田社長も別車種ではあるが、自分の乗っている車種が他国でハッキングされたというニュースを聞いて、ディーラーに対策を求めた経験があるという。そう、我々の生活のまわりには、ネットにつながっている機器が山のようにあるのだ。利便性の裏側で、ハッキングの脅威にさらされるリスクは広がっているといえるだろう。「多くの経営者はこの危機を知っているが、担当者から不要と助言されてしまい契約に至らないケースも多い」と沼田社長は危機感を募らせる。

筆者もある企業から注意を呼びかけられている。例えば連絡にはスマホのSMSを使うことが求められている。ホテルなどのWi-Fiには接続せず、電話回線でのローミングを要請されてもいる。イタチごっこではあるが、常に注意が必要なのが現実なのだろう。

[日経MJ2021年3月14日付]

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