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すしロボでも職人並み 家族に人気、仙台のすし居酒屋

NIKKEI STYLE

コロナ禍でも比較的順調に集客している業態が、焼き肉とすし業態と言われている。どちらも居酒屋業態と比べると、食事での利用はもちろん、"ついで飲み"もできるので、時短営業のなかでも消費者にとって足を運びやすい。

仙台市にある「大衆すし酒場不二子 仙台店」は旬のさかなや、にぎりずしをつまみに飲めるすし居酒屋。もその一つ。「バール タッチョモ」(東京・杉並)やソプラッチリア(札幌市)でバル業態などを運営するタッチョモ(東京・杉並)が運営する。

オープンしたのは2019年11月で、カウンター席とテーブル席を併せて70席。場所は繁華街の国分町がある仙台駅の西口ではなく、開発が進む東口。それも、周囲に寺院が集まるエリアだ。筆者が同店を最初に訪ねたのは20年4月の緊急事態宣言前だったが、夜ともなればお店の周りは真っ暗になり、明るい照明の店内は満席で驚いた記憶がある。

料理は宮城県内の漁港から届く鮮魚が充実する。例えば三陸東沖のはえ縄で水揚げされる「ひがしものマグロ」(税別1100円)や、旬のネタを盛り合わせた「刺盛り1人前」(同880円)などを楽しめる。

タッチョモの秋元貴明社長は「すし居酒屋は、社員の一人が結婚して奥さんの実家がある仙台に引っ越すと言い出したのがきっかけでした」ときっかけを話す。

その当人が仙台店の宮島宏明副社長。「もっと気軽にすしを楽しんでほしい」と、すし居酒屋を始めた。ただし、すし職人は雇わず、シャリ玉器を導入することで、人件費をかけずにクオリティーを高めた。

シャリには赤酢を使い、ネタの鮮度も良いことから、筆者はてっきり職人が握っていると思っていた。にぎりずしは一貫85円からで、おまかせ8貫(1280円)が人気だ。

新型コロナウイルスの感染拡大前まで月商700万円台だったが、さすがに現在は影響が出ている。それでも、ランチやディナーでの使い勝手が良く、客足は途絶えていない。

秋元社長は仙台店の動向から、コロナ禍で客足が遠のいた中野坂上の居酒屋を20年9月に「大衆すし酒場不二子」に業態転換した。

それまで、会社帰りのお客が多かったが、すし居酒屋にした途端、地元のカップルや家族客が増え、売り上げを下支えしている。

中野坂上の店舗では、宮城県産の「ホヤの唐揚げ」(同580円)などを提供する一方で、宮城の店舗では東京・下高井戸にある精肉店「ミートショップ伊藤」の名物ジャンボシュウマイ(1個同280円)がメニューに並ぶ。仙台と東京で、お互いのローカルグルメを堪能できる。

「大衆すし酒場不二子」は仙台駅西口にも出店を計画している。スシローグローバルホールディングスが展開するすし居酒屋「鮨・酒・肴 杉玉」も新店を各地で開業している。短時間で食事と酒を楽しめるすし居酒屋は今後広がりそうだ。

(フードジャーナリスト 鈴木桂水)

鈴木桂水(すずき・けいすい)
フードジャーナリスト・食材プロデューサー。おいしいお店から繁盛店まで、飲食業界を幅広く取材。"おいしい料理のその前"が知りたくて、一次生産者へ興味が尽きず産地巡りの日々。取材で出合った産品の販路アドバイスも行う。

[日経MJ 2021年2月26日付]

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