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ベンチャー育成の条件

SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞日経産業新聞 Smart Times

ベンチャー企業を育成できる人物にはどのような条件、資質、能力が必要なのか。まず、最も重要なポイントは自らの利益よりもベンチャー企業の成功を優先することにあると思う。もちろん新規株式公開(IPO)によってベンチャー企業が成功したとき経営支援する出資者も利益を得ることは否定しないが、育成過程で自らの利益を顧みない人こそふさわしい。金融機関、専門家、コンサルタントなどは原則として自社の利益のためベンチャー企業と取引している。個人の思いはともかくベンチャー企業を成功に導く組織とは言いにくい。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開。

2つ目は、ベンチャー企業の経営に参画し、企業サイドにいるメンバーと認識されることだ。経営者にとってコーポレート・ガバナンス上、企業内部にイエスマンでない存在がいることが欠かせない。ベンチャーキャピタルは報酬ではなく、ベンチャー企業の成功によるキャピタルゲインを利益の源泉とし、社外取締役に就任するケースも多い。VCは投資家として経営の監視を目的とし、人材紹介などの支援を行うのみなので、企業の外側にいる存在として認識されている。

3つ目は、ベンチャー企業に不足しているリソースやノウハウを補える能力と経験を有している人材であることだ。ベンチャー企業の経営者は発想力や情熱はあるが、経営経験に乏しい場合がある。組織戦略、人材採用・育成などマネジメント面で多くのサポートが必要となる。ベンチャー企業にどのようなリソースやノウハウが不足しているのかを見極めて適切に補完することが条件になる。

4つ目は、社員を経営幹部に育成することだ。それぞれの人材の資質を見定めて、様々な業務プロセスの中で育成を担っていく必要がある。5つ目に、経営者の思いをともに経営戦略や理念に昇華させることができる能力だ。このプロセスで経営者との共感が強まり、信頼関係が深まる。経営戦略は企業価値に直結することを忘れてはならない。

6つ目は、IPOに関するノウハウを持っていることだ。IPOは審査に主眼を置いた証券会社や監査法人からの指導によって、これまでうまく成長を支えてきた企業の組織や文化が変容するリスクをはらむ。IPO時の対応では証券会社や監査法人の言いなりになるのではなく、企業文化や組織の良さを残しながら審査をクリアする最適解を考えられるスキルがいる。

私はこのようなスタンスで20年以上にわたり25社のベンチャー企業の経営に参画、7社のIPOに成功した。現在も8社がIPOを目指している。一方で7社の経営からは離脱、3社は失敗した。各プロジェクトには成功要因と失敗要因がある。これまで培った経験を生かしベンチャー企業の成長に引き続き貢献していきたい。

[日経産業新聞2021年2月19日付]

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