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思い出の番組、サイトで議論 WOWOW、視聴者参加で活路

戦略ネットBiz

NIKKEI MJ

衛星放送を主力としてきたWOWOWがネットに大きく舵(かじ)を切っている。1月にネットだけで契約や視聴が完結する配信サービス「WOWOWオンデマンド」を開始した。さらに、同社がネットに用意したコミュニティーサイトで集めた視聴者の声をもとに、一部の番組の制作を始めた。

電波少年Wのコミュニティーサイト

ネットコミュニティーありきで制作する番組の第1弾が「電波少年W」だ。1月にネット配信、2月に衛星放送(スクランブルなし)を始めた。1992年から放送されていた伝説のバラエティー番組をWOWOWでよみがえらせたものだ。当時出演していた松村邦洋さんと松本明子さんを起用し、プロデューサーの土屋敏男さんも出演する。

この番組のテーマは「テレビの記憶」だ。視聴者が昔見ていた様々な番組の思い出をコミュニティーサイトに書き込み、どの番組のどの場面が見たいかを投票してもらう。その結果をもとに、番組を手がけた当時のプロデューサーやディレクターに、制作秘話やエピソードを語ってもらう。過去の番組に関するクイズも、視聴者参加型で出題するなど工夫する。

さらにWOWOWは、ネットコミュニティーを中心にして北方謙三さんの「水滸伝」を実写ドラマ化するプロジェクトにも着手した。田中晃社長は「おそらく国内の従来のテレビ局が作るドラマとしては、期間も規模も制作費も一番になるだろう」と語る。

放送開始は2年以上先を予定しているが、コミュニティーサイトを近く立ち上げる。「北方氏の水滸伝のファンは日本中におり、そうしたファンと一緒になって最高のドラマをつくるのがゴールだ」(田中社長)

コミュニティーサイトでは「主役は誰がいいか」「シナリオはそれでいいか」「この登場人物の描き方はここは違うのではないか」といったことをユーザーが議論できるようにする予定だ。放送が始まってからコミュニティーをつくるのではなく、放送の2年前からユーザーと一緒になって「最高のドラマ」を目指す。コミュニティーの中からドラマの出演者が出てくる可能性もあるとする。

これまでのコミュニティーづくりは、会員サービスをどう充実させるかといった事業者目線にともすればおちいりがちだった。これからは視聴だけでなく、参加する、体験する、応援するといったサービスに変えていくのが狙いだという。田中社長は「わかりやすくいうと高校や大学のサークルのようなもの。会員が主体性を持つコミュニティーになってほしいと思っている」と話す。

WOWOWは現在、ネットフリックスをはじめとした海外の巨大コンテンツ企業との競合で加入者が伸び悩んでいる。ネットフリックスがドラマやアニメなどの独自作品の制作・調達に投入している資金規模に比べると、WOWOWの制作・調達費用は大きく開きがあるという。

ただ、ネットフリックスは現在は豊富な資金を生かしたコンテンツ制作に注力しており、視聴者参加型コンテンツはあまりない。WOWOWは視聴者を巻き込んで魅力的なコンテンツを制作することで反転攻勢したい考えだ。

(大森敏行)

[日経MJ2021年2月10日付]

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